「ホテル業界」と聞いて、あなたはどのようなイメージを抱きますか？華やかなロビー、洗練されたサービス、お客様の笑顔…。しかしその裏側で、「仕事が激務で休みが少ないのではないか」「給与が見合っていないのでは」といった労働環境に対する不安を感じ、一歩を踏み出せない方も少なくないでしょう。

インターネット上には様々な情報が溢れていますが、その中には信憑性の低いものや、古い情報も散見されます。本当に知りたいのは、客観的なデータに基づいた「今、本当に社員を大切にしているホテル企業はどこなのか」ということではないでしょうか。

本記事は、そんなあなたの不安や疑問に答えるために生まれました。厚生労働省や観光庁が公表する最新の統計データに加え、各企業の採用情報や公式発表に基づき、ホテル業界の労働環境を徹底分析。そして、独自の調査に基づき、福利厚生が本当に充実している優良ホテル企業を20社厳選し、ランキング形式でご紹介します。

この記事を最後まで読めば、あなたはホテル業界のリアルな労働環境を理解し、表面的な情報に惑わされることなく「本当に福利厚生が充実した優良企業」を見抜く力を身につけることができます。そして、心から「ここで働きたい」と思える企業を見つけ、後悔しないキャリア選択の第一歩を踏み出すことができるでしょう。

そもそもホテル業界の福利厚生ってどうなの？現状と特徴を解説

ランキングをご覧いただく前に、まずはホテル業界全体の福利厚生の現状と、この業界ならではの特徴的な制度について理解を深めましょう。客観的なデータと具体的な事例を知ることで、企業選びの確かな軸が生まれます。

1-1. 知っておきたいホテル業界の労働環境の実態

まず、ホテル業界の労働環境を客観的なデータから見ていきましょう。ここでは、厚生労働省や観光庁の公表データを基に、「年収」「労働時間」「休日数」の実態を解説します。

■平均年収：他業界と比較すると低い水準

厚生労働省が発表した「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、「宿泊業、飲食サービス業」の平均年収（きまって支給する現金給与額×12ヶ月＋年間賞与その他特別給与額で算出）は約303.8万円となっています。

同年の日本の全産業平均年収が約349.5万円であることと比較すると、ホテル業界が含まれる宿泊業は、残念ながら平均より低い水準にあるのが現状です。これは、専門的なスキルが求められる職種と、未経験からでも始めやすい職種が混在していることや、パート・アルバイトといった非正規雇用の割合が他業界に比べて高いことなどが要因として考えられます。

しかし、これはあくまで業界全体の平均値です。後述するランキングに登場するような大手企業や、特定の分野で高い専門性を持つ企業では、平均を大きく上回る給与水準を実現しているケースも少なくありません。重要なのは、業界平均というマクロな視点と、個々の企業のミクロな視点を併せ持って判断することです。

■労働時間・休日数：改善傾向にあるが、依然として課題も

ホテルは24時間365日稼働しているため、勤務はシフト制が基本となり、土日祝日が必ずしも休みになるとは限りません。また、チェックイン・チェックアウトが集中する時間帯や、宴会・婚礼がある日などは、長時間労働になりやすいという特性があります。

観光庁の「令和4年度 宿泊業の現状と課題」に関する調査では、宿泊業における人手不足が深刻な課題として挙げられており、これが従業員一人ひとりへの負担増につながっている側面は否定できません。

一方で、近年の働き方改革の流れを受け、労働環境の改善に積極的に取り組む企業が急増しています。年間休日数を120日以上に設定したり、週休3日制を導入したり、ITツールを活用して業務を効率化することで残業時間を削減するなど、魅力的な職場環境を整備する動きが活発化しています。

（出典情報）

  • 年収データ: 厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」結果の概況内、「主な産業､性､賃金の推移」及び「主な産業別賃金、賞与」を参照し算出。調査時点は令和5年（2023年）。

1-2. ホテル業界ならではの魅力的な福利厚生3選

厳しい側面もありますが、ホテル業界には他では味わえないユニークで魅力的な福利厚生が存在します。ここでは、特に人気の高い3つの制度をご紹介します。

① 施設利用割引：家族や友人に自慢できる最高の特典

最も代表的で、多くのホテルスタッフにとって嬉しい福利厚生が、自社およびグループ企業のホテルやレストランを割引価格で利用できる制度です。割引率は企業によって様々ですが、中には正規料金の50%〜75%オフ、あるいは無料宿泊といった破格の条件で利用できる場合もあります。

この制度を使えば、記念日に高級レストランで食事を楽しんだり、両親や友人を招いて自慢のホテルに宿泊してもらったりと、プライベートを豊かに彩ることができます。自分が働くホテルやサービスの魅力を身をもって体験することで、仕事への誇りやモチベーション向上にも繋がる、まさに一石二鳥の制度と言えるでしょう。

② 寮・家賃補助：生活基盤を支える心強いサポート

特に若手社員や地方からの就職者にとって、生活の基盤となる住居のサポートは非常に重要です。ホテル業界では、従業員寮（独身寮・単身寮）を完備している企業が少なくありません。月々数千円から2万円程度の自己負担で入居できるケースが多く、都心部のホテルに勤務する場合、生活コストを大幅に抑えることが可能です。

また、寮がない場合でも、家賃の一部を補助する「住宅手当」を支給する企業が増えています。支給額は地域や条件によって異なりますが、月々2万円〜5万円程度が一般的で、中には月7万円以上という手厚い補助を行う企業も存在します。求人情報を見る際は、寮の有無だけでなく、住宅手当の支給条件や金額もしっかりと確認しましょう。

③ キャリアアップ支援：ホテルのプロフェッショナルを目指せる

ホテルは、多様なプロフェッショナルが活躍する職場です。質の高いサービスを提供し続けるため、多くの企業が従業員のスキルアップや資格取得を積極的に支援しています。

例えば、以下のような制度が挙げられます。

  • 語学研修制度: 英会話や中国語など、外国人ゲストへの対応力向上のための研修。オンライン英会話の受講費用補助など。

  • 資格取得支援制度: ソムリエ、バーテンダー、利き酒師、レストランサービス技能士、マナー・プロトコール検定などの資格取得にかかる費用を会社が負担、または合格時にお祝い金を支給。

  • 海外研修・留学制度: 海外のグループホテルで働きながら、国際的な視野とスキルを身につける機会を提供。

  • 社内研修・教育プログラム: 階層別研修、マネジメント研修、サービス研修など、キャリアステップに応じた多様な学びの機会を用意。

これらの制度は、自身の市場価値を高め、将来のキャリアパスを広げる上で大きな助けとなります。企業のキャリア支援制度の手厚さは、従業員の成長をどれだけ大切に考えているかの表れとも言えるでしょう。

1-3. 福利厚生を見る際に注意すべきポイント

求人票や採用サイトで福利厚生の情報をチェックする際には、後悔しないために注意すべきポイントが2つあります。

■「基本給」と「手当」の内訳を必ず確認する

一見、月給が高く見えても、その内訳をしっかり確認することが重要です。給与は通常、「基本給」と各種「手当（職務手当、役職手当、住宅手当など）」で構成されています。なぜ基本給が重要かというと、賞与（ボーナス）や退職金の算定基準となることが多いためです。

例えば、「月給25万円」という2つの求人があったとします。

  • A社：基本給23万円＋住宅手当2万円
  • B社：基本給18万円＋一律手当7万円

この場合、月々の手取り額は同じでも、ボーナスが「基本給の4ヶ月分」という規定であれば、A社の方がB社よりも年収が高くなる可能性があります。給与欄に「月給◯◯万円」としか書かれていない場合は、面接などで必ずその内訳を確認するようにしましょう。

■「みなし残業（固定残業代）制度」の有無と時間数

「固定残業代」や「みなし残業代」が含まれている求人にも注意が必要です。これは、毎月一定時間分の残業をあらかじめ給与に含んで支払う制度です。

例えば、「月給25万円（固定残業代30時間分、4万円を含む）」といった記載がされている場合、これは30時間分の残業代がすでに給与に含まれていることを意味します。この場合、毎月の残業が30時間以内であれば、追加の残業代は支払われません。そして、30時間を超えた分については、別途残業代が支払われる必要があります。

この制度自体が悪いわけではありませんが、チェックすべきは「何時間分の固定残業代が含まれているか」です。あまりに長い時間（例えば45時間を超えるなど）が設定されている場合は、慢性的な長時間労働が常態化している職場の可能性も視野に入れる必要があります。また、固定残業代を除いた「基本給」がいくらになるのかを計算し、地域の最低賃金を下回っていないかも確認すべき重要なポイントです。

データで見る！ホテル業界の福利厚生充実度ランキングTOP20

ここからは、本題である「福利厚生が充実しているホテル企業ランキング」を発表します。

【ランキングの評価基準について】

このランキングは、各社の採用サイトで公開されている情報、IR情報、および信頼できる業界ニュースなどを基に、以下の項目を総合的に評価し、当メディアが独自に作成したものです。

  • 休日・休暇制度: 年間休日数の多さ、長期休暇の取得しやすさなど
  • 住宅関連補助: 寮・社宅の有無と自己負担額、住宅手当の支給額など
  • 独自の魅力的な制度: 施設利用割引、ユニークな休暇制度、自社ならではの特典など
  • キャリア支援・教育制度: 研修プログラムの充実度、資格取得支援の内容など
  • 企業基盤の安定性: 経営状況、グループ全体の規模や安定性

それでは、注目のランキングを見ていきましょう。

【第1位】株式会社星野リゾート

特徴年間休日福利厚生
柔軟な働き方と独自のキャリア開発制度で業界をリード120日麓村塾（ろくそんじゅく）、立候補制度、週休3日制度の選択肢

ホテル業界の働き方改革を牽引する存在が、星野リゾートです。年間休日120日に加え、一部施設では「週休3日制」の導入も進めており、従業員が自身のライフスタイルに合わせて働き方を選択できる環境を整えています。

同社の福利厚生で最も特徴的なのが、独自の社内ビジネススクール「麓村塾（ろくそんじゅく）」です。経営戦略やマーケティング、リーダーシップ論など、多彩なプログラムが用意されており、従業員は誰でも参加できます。ここで学んだ知識を活かし、支配人や総支配人へ立候補できる「立候補制度」も整備されており、年齢や社歴に関わらずキャリアアップを目指せる文化が根付いています。まさに、従業員の成長こそが会社の成長に繋がるという哲学が体現された制度と言えるでしょう。

（出典情報：株式会社星野リゾート 採用公式サイト、2025年7月閲覧）

【第2位】ヒルトン

特徴年間休日福利厚生
グローバル基準の先進的な制度と圧倒的な従業員割引120日Go Hilton（従業員割引制度）、所得補償保険、充実した休暇

世界展開するグローバルホテルチェーンならではの、先進的で手厚い福利厚生がヒルトンの魅力です。特筆すべきは、従業員割引制度「Go Hilton」。従業員は世界中のヒルトン・ポートフォリオのホテルに破格の料金で宿泊でき、友人や家族も割引料金で利用可能です。この制度を利用して海外旅行を楽しむ社員も少なくありません。

年間休日は120日と業界高水準であることに加え、病気や怪我で長期間働けなくなった場合に収入の一部を補償する「所得補償保険」に会社負担で加入できるなど、万が一の際にも安心して生活を続けられるセーフティネットが整っています。グローバル企業ならではのダイバーシティ＆インクルージョンを重視した職場環境も、長期的なキャリアを築く上で大きな魅力です。

（出典情報：ヒルトン・グループ採用情報サイト、2025年7月閲覧）

【第3位】株式会社帝国ホテル

特徴年間休日福利厚生
業界最高水準の休日数と伝統に裏打ちされた手厚い生活支援129日独身寮、自営食堂、リラクゼーション室、高い有給取得率

「日本の迎賓館」としての歴史と伝統を誇る帝国ホテルは、従業員の生活を支える福利厚生が非常に手厚いことで知られています。特筆すべきは、年間休日129日という業界トップクラスの休日数です。シフト制でありながらも、夏季・年末年始には連続休暇の取得も推奨されており、ワークライフバランスを重視する姿勢が伺えます。

また、月額1万円以下で入居可能な独身寮（水道光熱費込み）を完備しているほか、栄養バランスの取れた温かい食事を安価で提供する自営食堂、マッサージチェアなどが置かれたリラクゼーション室など、従業員が心身ともに健康でいられるための施設が充実しています。長期的に安定した環境で、ホテルサービスのプロフェッショナルを目指したい人材にとって、最高の環境と言えるでしょう。

（出典情報：株式会社帝国ホテル 採用サイト、各種就職情報サイト、2025年7月閲覧）

【第4位】リゾートトラスト株式会社

特徴年間休日福利厚生
総合力の高い福利厚生と手厚い自己啓発支援120日カフェテリアプラン、充実した研修制度、住宅・家族手当

会員制リゾートホテル「エクシブ」などを展開するリゾートトラストは、福利厚生の総合力が非常に高い企業です。年間休日120日に加え、社員が個々のニーズに合わせて福利厚生メニューを選択できる「カフェテリアプラン」を導入しています。

特に、人材育成への投資を惜しまない姿勢が特徴で、入社時の導入研修から、年次や役職に応じた階層別研修、専門スキルを高めるための職種別研修まで、非常に体系だった教育プログラムが組まれています。住宅手当や家族手当といった生活支援も手厚く、安定した基盤の上で着実にキャリアを積み重ねていきたい人に向いています。

（出典情報：リゾートトラスト株式会社 採用サイト、2025年7月閲覧）

【第5位】共立メンテナンス株式会社

特徴年間休日福利厚生
手厚い住宅補助と多様なキャリアパス117日（事業所により異なる）寮・社宅制度（手厚い家賃補助）、充実した研修

ビジネスホテル「ドーミーイン」やリゾートホテル「共立リゾート」を全国に展開する共立メンテナンスは、特に住宅関連の福利厚生が手厚いことで定評があります。自己負担月額2万円で入居できる寮を完備しており、満室の場合は会社が借り上げた社宅に家賃の約半額補助で住むことができます。若手社員にとっては非常に魅力的な制度です。

「ドーミーイン」でホテル運営の基礎を学んだ後、高級リゾートの「共立リゾート」へ異動したり、本社部門でキャリアを築いたりと、多様なキャリアパスが用意されているのも大きな強みです。

（出典情報：株式会社共立メンテナンス 採用サイト、2025年7月閲覧）

【第6位】株式会社ミリアルリゾートホテルズ

特徴年間休日福利厚生
ディズニーブランドの安定基盤とユニークな特典115日テーマパーク関連特典、手厚い研修制度、高い有給消化率

東京ディズニーリゾート内のディズニーホテルを運営するミリアルリゾートホテルズ。オリエンタルランドグループならではの安定した経営基盤が最大の魅力です。年間休日は115日、有給休暇の消化率は90%以上と高く、働きやすい環境が整備されています。

最大の魅力は、やはりテーマパークに関連したユニークな福利厚生でしょう。キャスト（従業員）限定のパークチケット配布や、関連グッズの割引など、ディズニーファンにはたまらない特典が多数用意されています。また、ディズニーブランドの高いスタンダードを維持するための徹底した教育・研修制度も特徴で、一流のホスピタリティを基礎から学ぶことができます。

（出典情報：株式会社ミリアルリゾートホテルズ 採用情報、各種求人情報サイト、2025年7月閲覧）

【第7位】アパグループ株式会社

特徴年間休日福利厚生
ライフプランに応じた勤務地選択制度と、独自の生活・キャリア支援120日住宅手当、社員割引（ホテル・マンション）、他社ホテル視察補助

全国に圧倒的なネットワークを誇るアパホテル。その福利厚生で最大の魅力は、業界トップクラスの住宅手当です。勤務地や条件により異なりますが、最大で月額7.5万円という手厚い補助は、従業員の生活を強力にサポートします。

年間休日は120日以上を確保しており、総合福利厚生サービス「ベネフィット・ステーション」にも加入。レジャー、グルメ、ショッピング、自己啓発など、多彩なサービスを割引価格で利用できます。50年以上にわたる連続黒字経営という安定した財務基盤も、安心して長く働く上で大きなポイントです。実利を重視する堅実なキャリアを望む人におすすめです。

（出典情報：アパグループ株式会社 採用サイト、2025年7月閲覧）

【第8位】東急ホテルズ＆リゾーツ株式会社

特徴年間休日福利厚生
大手私鉄グループならではの総合力と安定性108日（＋各種休暇）東急共済組合、東急グループ持株会、多様なキャリア形成支援

東急グループの中核を担うホテル企業として、グループの総合力を活かした福利厚生が魅力です。東急共済組合に加入することで、病気や怪我、結婚、出産といったライフイベントの際に手厚い給付金を受けられるほか、全国の東急グループ施設を割引価格で利用できます。

従業員持株会制度もあり、財産形成を会社がサポートしてくれます。ホテル事業内でのキャリアアップはもちろん、グループ内の他事業へ挑戦する道も開かれており、安定した基盤の上で長期的な視点に立ったキャリアを築くことが可能です。

（出典情報：東急ホテルズ＆リゾーツ株式会社 採用サイト、2025年7月閲覧）

【第9位】株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイド

特徴年間休日特筆すべき福利厚生
ワークライフバランス重視の制度とカムバック制度最大117日（勤務地・職種による）リフレッシュ休暇、カムバック制度、グループ施設割引

全国にプリンスホテルを展開する同社は、ワークライフバランスを重視した制度設計が特徴です。年間休日に加え、年に1度、最大5日間の連続休暇が取得できるリフレッシュ休暇制度があり、心身ともにリフレッシュする機会を設けています。

また、結婚・出産・介護などの理由で一度退職した社員が、再び正社員として復職できる「カムバック制度」を導入している点も特筆に値します。ライフステージの変化に柔軟に対応し、キャリアを継続しやすい環境が整えられています。西武グループの施設を割引利用できるのも大きな魅力です。

（出典情報：株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイド 採用サイト、2025年7月閲覧）

【第10位】株式会社三井不動産ホテルマネジメント

特徴年間休日特筆すべき福利厚生
大手デベロッパー系の安定基盤と質の高い福利厚生118日ライフサポート倶楽部、階層別研修、住宅関連制度

三井ガーデンホテルズなどを運営する、三井不動産グループのホテルマネジメント会社です。大手デベロッパーならではの安定した経営基盤を背景に、網羅的で質の高い福利厚生を提供しています。

総合福利厚生サービス「ライフサポート倶楽部」に加入しており、宿泊、育児、介護、健康など、生活のあらゆる場面でサポートを受けられます。新入社員から管理職まで、それぞれのステージに応じた階層別研修が充実しており、着実な成長を支援する体制が整っています。独身寮や住宅手当といった住宅関連の制度も整備されています。

（出典情報：株式会社三井不動産ホテルマネジメント 採用サイト、2025年7月閲覧）

【第11位】ハイアット ホテルズ コーポレーション

特徴年間休日特筆すべき福利厚生
年間12泊の海外ハイアット無料宿泊という比類なき特典115日前後（ホテルによる）海外ハイアットホテルズ無料宿泊制度（年間最大12泊）

グローバルに展開するハイアットの福利厚生で、他の追随を許さない圧倒的な魅力が「海外ハイアットホテルズ無料宿泊制度」です。勤続1年以上の正社員は、年間最大12泊まで、海外のハイアット系ホテルに無料で宿泊できます。この制度を活用して、夢のような海外旅行を実現している社員も少なくありません。

もちろん、国内のグループホテルやレストランの割引制度も充実しています。外資系ならではのフラットな社風と、グローバルな環境でキャリアを築きたいと考える人材にとって、これ以上ない刺激的な環境と言えるでしょう。

（出典情報：グランド ハイアット 東京 公式サイト内求人情報等、2025年7月閲覧）

【第12位】藤田観光株式会社

特徴年間休日特筆すべき福利厚生
自己啓発支援が豊富で着実な成長をサポート111日独身寮、資格取得奨励制度、通信教育補助

「ワシントンホテル」や「ホテル椿山荘東京」、「箱根小涌園ユネッサン」など、多様なブランドを運営する老舗企業です。安定した経営基盤のもと、独身寮や退職金制度など、堅実な福利厚生が整備されています。

特に、従業員の自己啓発支援に力を入れている点が特徴です。会社が推奨する資格を取得した際に奨励金を支給する制度や、様々な通信教育講座の受講費用を補助する制度があり、働きながら自身のスキルを高めたいという意欲に応える体制が整っています。

（出典情報：藤田観光株式会社 採用サイト、2025年7月閲覧）

【第13位】株式会社ホテルオークラ

特徴年間休日特筆すべき福利厚生
日本の伝統と格式を世界に広げるキャリアパス110日独身寮、従業員食堂、海外派遣制度

帝国ホテル、ニュー・オータニと並び「ホテル御三家」と称される名門、ホテルオークラ。独身寮や栄養バランスの取れた従業員食堂など、伝統的ながらも手厚い福利厚生が魅力です。グループホテル割引はもちろん、早朝勤務者への手当など、現場で働く従業員への配慮も行き届いています。

最大の特徴は、将来的に海外のグループホテルで活躍できる可能性がある「海外派遣制度」です。世界に日本のホスピタリティを発信したいという高い志を持つ人材にとって、大きな目標となるでしょう。

（出典情報：株式会社ホテルオークラ東京 採用サイト、ホテルオークラ神戸 採用サイト、2025年7月閲覧）

【第14位】東横イングループ

特徴年間休日特筆すべき福利厚生
圧倒的な休日数と若手社員に手厚いユニークな制度169日（フロント職の場合）「4日に1回勤務」シフト、奨学金返済支援制度

ビジネスホテルチェーンの東横インは、そのユニークな勤務体系で知られています。フロント職は「1勤務25時間（休憩・仮眠時間を含む）、4日に1回の出勤」というシフトが基本。これにより、年間休日は169日となり、月の半分以上が休日になります。1回の勤務は長いですが、明け休みと公休日を組み合わせることで、3連休や4連休も取得しやすく、プライベートの時間を非常に多く確保できます。

また、若手社員を支援する「奨学金返済支援制度」も導入しており、会社のサポートを受けながら生活基盤を固めることができます。働き方とプライベートのメリハリを何よりも重視する人に最適な職場です。

（出典情報：株式会社東横イン 採用サイト、2025年7月閲覧）

【第15位】マリオット・インターナショナル

特徴年間休日福利厚生
世界最大のホテルグループが提供するグローバルな特典とキャリア110日前後（ホテル・職種による）Explore Rate（従業員割引）、多様なブランドポートフォリオ

ザ・リッツ・カールトンやシェラトン、ウェスティンなど数々の有名ブランドを擁する世界最大のホテルグループ、マリオット・インターナショナル。その最大の魅力は、全世界8,500軒以上の系列ホテルで利用可能な従業員割引「Explore Rate」です。家族や友人も利用でき、その割引率は非常に高いことで知られています。

また、ラグジュアリーからセレクトサービスまで、世界で最も多様なブランドポートフォリオを持つため、社内で様々なタイプのホテルを経験し、グローバルなキャリアを築く機会に恵まれています。従業員の教育や能力開発にも力を入れており、世界基準のホスピタリティを学ぶことができます。

（出典情報：Marriott International 公式サイト、2025年7月閲覧）

【第16位】ルートインジャパン株式会社

特徴年間休日福利厚生
全国展開の安定基盤と生活を支える実用的な福利厚生107日社宅制度（家賃の6割を会社負担）、家族手当、ベネフィット・ステーション

全国47都道府県に「ホテルルートイン」を展開する安定企業です。福利厚生は、従業員の生活を直接的に支える実用的な制度が中心です。特に手厚いのが社宅制度で、会社が指定する物件の家賃の6割を会社が負担してくれます。

扶養家族がいる従業員には家族手当が支給されるほか、総合福利厚生サービス「ベネフィット・ステーション」にも加入しており、全国チェーンならではの網羅的なサポート体制が整っています。地域に根ざし、安定した環境で働きたい人に適しています。

（出典情報：ルートインジャパン株式会社 採用サイト、就活会議、2025年7月閲覧）

【第17位】株式会社ニュー・オータニ

特徴年間休日福利厚生
御三家の伝統と働きやすさを両立する環境108日独身寮（月6,000円）、グループ施設利用割引、正社員登用制度

ホテル御三家の一角として、日本のホスピタリティを牽引してきたニュー・オータニ。月額6,000円という破格の自己負担で入居できる単身寮を完備しており、若手社員の生活を力強くバックアップします。

グループホテルやレストラン、レジャー施設の利用割引はもちろん、産休・育休といった制度も完備。契約社員からスタートした場合でも、最短3ヶ月での正社員登用実績が多数あり、誰もがキャリアアップを目指せる門戸が開かれています。伝統と格式を重んじながらも、働きやすい環境づくりに注力している企業です。

（出典情報：HRTニューオータニ株式会社（ホテルニューオータニグループ）求人情報、2025年7月閲覧）

【第18位】日本ホテル株式会社

特徴年間休日福利厚生
JR東日本グループの絶大な安定性と充実の福利厚生118日独身寮、住宅・家族手当、JR持株会、JRホテルグループ割引

東京ステーションホテルやメズム東京などを運営する、JR東日本グループの中核ホテル企業です。最大の強みは、その絶大な安定性です。独身寮や住宅手当、家族手当といった生活支援制度が充実しているのはもちろん、JR東日本の持株会に加入でき、資産形成の面でもサポートが受けられます。

福利厚生代行サービス「JR東日本カフェテリア倶楽部」や、全国のJRホテルグループで利用できる割引制度など、グループのスケールメリットを活かした福利厚生は非常に魅力的です。鉄道系ならではの盤石な経営基盤のもと、安心してキャリアを追求できます。

（出典情報：日本ホテル株式会社 キャリタス就活 企業情報ページ、2025年7月閲覧）

【第19位】株式会社京王プラザホテル

特徴年間休日特筆すべき福利厚生
鉄道会社系ならではの手厚く安定した福利厚生118日京王共済組合、独身寮、住宅・家族手当

日本初の超高層ホテルとして開業した歴史を持つ京王プラザホテル。京王グループの一員として、鉄道会社系ならではの手厚く安定した福利厚生が自慢です。特に「京王共済組合」の存在は大きく、結婚祝金や出産給付金、傷病見舞金など、ライフステージの様々な局面で手厚いサポートを受けられます。

男女別の独身寮を完備しているほか、住宅手当や家族手当もしっかりと支給されます。従業員食堂や仮眠室、シャワールームといった施設も充実しており、従業員が働きやすい環境づくりへの投資を惜しまない企業文化が感じられます。

（出典情報：株式会社京王プラザホテル 採用サイト、2025年7月閲覧）

【第20位】三菱地所ホテルズ＆リゾーツ株式会社

特徴年間休日福利厚生
大手デベロッパー系ならではの安定した待遇110日食事・家族手当、退職金制度、三菱地所グループ従業員持株会

「ロイヤルパークホテルズ」ブランドを展開する、三菱地所グループのホテル運営会社です。大手デベロッパー系ならではの安定した経営基盤を背景に、堅実な待遇を提供しています。

食事手当や家族手当、退職金制度といった基本的な福利厚生がしっかりと整備されており、安心して長く働ける環境です。また、三菱地所グループの従業員持株会への加入や、グループホテルの利用割引制度など、グループならではの恩恵も受けられます。資格取得支援や自己啓発支援にも力を入れており、安定した環境でスキルアップを目指せます。

（出典情報：三菱地所ホテルズ＆リゾーツ株式会社 HOTERES新卒情報、2025年7月閲覧）

後悔しない優良ホテル企業を見つけるための5つのポイント

ランキング上位の企業は確かに魅力的ですが、それが必ずしも「あなたにとって最高の企業」とは限りません。最終的には、あなた自身の価値観やキャリアプランに合った企業を見つけることが何よりも重要です。ここでは、後悔しない企業選びのための5つの実践的なポイントを解説します。

3-1. ポイント①：企業の経営状況と安定性をチェックする

福利厚生の充実は、安定した経営基盤があってこそ成り立ちます。どんなに魅力的な制度があっても、企業の業績が悪化すれば、制度が縮小・廃止されたり、最悪の場合、雇用の維持が難しくなったりする可能性もゼロではありません。

企業の安定性を確認するために、ぜひチェックしてほしいのが「IR情報（Investor Relations）」です。これは、企業が株主や投資家向けに公開している経営状況に関する情報で、企業の公式サイトから誰でも閲覧できます。

特に注目すべきは、「決算短信」や「有価証券報告書」です。難しく感じるかもしれませんが、見るべきポイントは限られています。

  • 売上高・利益の推移: 過去数年間の売上や利益が伸びているか、安定しているかを確認します。これにより、企業の成長性や収益力がわかります。

  • 事業の状況: 企業が現在、どの事業に力を入れているのか、今後の戦略はどうなのかが書かれています。新しいホテルの開業計画や、海外展開の動向などを把握できます。

  • 自己資本比率: 総資産のうち、返済不要の自己資本がどれくらいの割合を占めるかを示す指標です。一般的に、この比率が高いほど財務の健全性が高いとされています。

これらの情報を確認することで、企業の体力や将来性を客観的に判断する材料になります。

3-2. ポイント②：従業員の口コミ・評判を多角的に分析する

実際にその企業で働いている、あるいは働いていた人々の「生の声」は、企業の実態を知る上で非常に貴重な情報源です。転職口コミサイトなどを活用することで、公式サイトだけではわからない職場の雰囲気や、福利厚生制度の実際の利用状況などを垣間見ることができます。

しかし、口コミ情報を鵜呑みにするのは危険です。情報の信頼性を見極めるために、以下の点を意識して多角的に分析しましょう。

  • 複数のサイトを比較する: 一つのサイトの評価だけを信じるのではなく、複数の口コミサイトを比較検討し、共通して言及されている点を探します。

  • 回答者の属性を確認する: その口コミが「いつ」「どの職種の」「どの雇用形態の」「在職中の、あるいは退職した」人物によって書かれたものかを確認します。例えば、10年前に退職した人の情報と、現職のフロントスタッフの情報では、価値が大きく異なります。

  • ポジティブとネガティブ両方の意見を確認する: 良い点ばかり、あるいは悪い点ばかりに偏った意見だけでなく、両方の側面から書かれたバランスの取れた意見を参考にします。

  • 感情的な表現に惑わされない: 「最悪だった」「天国だった」といった極端な表現ではなく、具体的なエピソードや事実に基づいた客観的な記述に注目します。

口コミはあくまで個人の主観的な意見の集合体です。一つの参考情報として捉え、最終的には面接などで直接自分の目で確かめることが重要です。

3-3. ポイント③：自身のキャリアプランとの相性を見極める

あなたが仕事を通じて、将来どのようになっていたいかを考えることは、企業選びにおいて非常に重要です。「福利厚生が手厚い」という理由だけで入社しても、目指すキャリアを実現できる環境でなければ、いずれ不満を感じてしまうかもしれません。

まずは、あなた自身のキャリアプランを具体的に描いてみましょう。

  • 「若いうちから責任ある仕事を任され、早く成長したい」
  • 「語学力を活かして、国際的な環境で活躍したい」
  • 「特定の分野（料飲、マーケティング、人事など）の専門家になりたい」
  • 「将来は支配人としてホテル全体をマネジメントしたい」
  • 「プライベートを大切にしながら、一つの場所で長く安定して働きたい」

その上で、企業のウェブサイトにあるキャリアパスの事例や、社員インタビューなどを読み込み、自身が目指す方向と企業が用意する道筋が一致しているかを見極めましょう。例えば、「海外で活躍したい」という希望があるなら、海外展開に積極的で、実際に海外派遣制度がある企業（例：ホテルオークラ、マリオット・インターナショナルなど）を選ぶべきです。

自分の理想と企業の方向性がマッチしているか。この視点を持つことで、入社後のミスマッチを大幅に減らすことができます。

3-4. ポイント④：転職エージェントに相談して客観的な情報を得る

一人での企業研究には限界があります。そこでおすすめしたいのが、転職エージェントの活用です。特にホテル業界に特化したエージェントであれば、自分一人ではアクセスできない貴重な情報を提供してくれる可能性があります。

転職エージェントを活用するメリットは主に以下の3つです。

  • 非公開求人の紹介: 企業の採用計画によっては、一般には公開されていない「非公開求人」が存在します。エージェントはこうした好条件の求人を保有している場合が多く、選択肢の幅が大きく広がります。

  • 客観的な内部情報: エージェントは、企業の採用担当者と密にコミュニケーションを取っているため、職場の雰囲気や求められる人物像、福利厚生制度のリアルな運用実態など、求人票だけではわからない内部情報に精通しています。

  • 選考対策のサポート: 履歴書・職務経歴書の添削から、企業ごとの面接対策、さらには自分では言い出しにくい給与や待遇の交渉まで、プロの視点から手厚いサポートを受けられます。

第三者であるキャリアアドバイザーに相談することで、自分では気づかなかった強みや、新たなキャリアの可能性を発見できることもあります。情報収集と活動の効率化のために、積極的に活用を検討してみましょう。

3-5. ポイント⑤：企業研究と自己分析で「自分の軸」を明確にする

最終的に、最も重要なのは「あなた自身の軸」を明確にすることです。福利厚生、仕事のやりがい、給与、勤務地、企業のブランド、将来性…仕事に求める価値観は人それぞれです。他の誰かにとっての「良い会社」が、あなたにとってもそうであるとは限りません。

これまでの企業研究（ポイント①〜④）と並行して、徹底的に自己分析を行いましょう。

  • なぜ、自分はホテル業界で働きたいのか？
  • 仕事を通じて、何を実現したいのか？（自己成長、社会貢献、安定した生活など）
  • どのような環境であれば、モチベーション高く働き続けられるか？
  • 仕事とプライベートのバランスをどのように考えたいか？
  • これだけは譲れない、という条件は何か？

これらの問いに自問自答を繰り返すことで、あなたの「企業選びの軸」が明確になります。この軸が定まっていれば、膨大な情報に惑わされることなく、自信を持って企業を判断し、面接の場でも一貫性のある自己PRができるようになります。

まとめ

本記事では、客観的なデータに基づき、ホテル業界の労働環境の実態を解説するとともに、福利厚生が充実しているホテル企業をランキング形式でご紹介しました。さらに、後悔しない優良企業を見つけるための5つの具体的なポイントを解説しました。

【福利厚生が充実したホテルランキングのポイント】

  • 休日数では帝国ホテル（129日）や東横イン（169日）が突出。
  • 住宅補助ではアパグループ（最大7.5万円）や共立メンテナンス（寮・社宅）が手厚い。
  • 独自の魅力では星野リゾート（麓村塾）、ヒルトン（Go Hilton）、ハイアット（無料宿泊）などが光る。
  • 大手グループ系（JR東日本、東急、京王、三井、三菱など）は、安定性と総合力で強みを発揮。

【優良企業を見つけるための5つの視点】

  1. 経営の安定性をIR情報で客観的にチェックする。
  2. 口コミは多角的に分析し、鵜呑みにしない。
  3. キャリアプランと企業の方向性の一致を見極める。
  4. 転職エージェントを活用し、非公開情報や客観的アドバイスを得る。
  5. 自己分析を深め、自分だけの「譲れない軸」を確立する。

ホテル業界は、お客様に非日常の感動を提供する、非常に大きなやりがいのある仕事です。そして、働き方改革が進む今、従業員の幸福を追求し、魅力的な労働環境と手厚い福利厚生を提供する企業は確実に増えています。

本記事で得た知識を羅針盤として、ぜひ自信を持って、あなたの輝かしいキャリアの第一歩を踏み出してください。この記事が、あなたが心から「ここで働きたい」と思える最高のホテル企業と出会うための一助となれば、これほど嬉しいことはありません。