「不動産業界に就職すると、毎日深夜まで残業させられるのではないか」
「休みが取りにくい、土日も働きづめ」
そんなイメージを持っている人は少なくありません。とくに就職活動や転職活動を進めるとき、候補に挙げた企業が“ブラック”なのか“ホワイト”なのかを気にする人は多いでしょう。

近年、不動産業界では働き方改革や人的資本開示の流れが進み、各社が「どれだけ有給休暇を取れているか」「平均の残業時間はどのくらいか」「男性育児休暇は実際にどれくらい取得されているのか」などを具体的な数値で公開するようになってきました。こうしたデータは単なる数字にとどまらず、その会社が社員の健康や生活をどの程度大切にしているかを示す“鏡”です。

この記事では、最新の一次情報(公式IR資料や統合報告書、採用ページなど)をもとに、不動産業界で働きやすさが高く評価される企業をランキング化しました。対象となるのは、日本を代表する大手デベロッパーから、仲介やマンション管理、住宅販売を手掛けるグループ企業まで幅広く含まれます。

読者が本記事から得られるのは次の3点です。

  1. 「不動産業界=ブラック」という思い込みの解消できること。 数値の裏付けを通じて、企業ごとの実情を知ることができます。
  2. ホワイト企業として注目されている企業の理解ができること。 有給休暇取得率、残業時間、育児休暇制度などの観点からランキングを確認できます。
  3. 自分に合った企業選びの目線を得られること。 単に給与やブランドだけでなく、働きやすさを軸にした選択が可能になります。

不動産業界に挑戦したい人も、転職で安定した環境を探している人も、安心してキャリアを築くために「どんな企業がホワイトなのか」を知ることは大切です。2025年の最新情報をもとに、働きやすさに優れた不動産企業の特徴を詳しく解説していきます。

1. 不動産ホワイト企業とは? 

不動産業界のホワイト企業には、いくつかの共通する特徴があります。ここでいう「ホワイト企業」とは、単に「楽な会社」という意味ではありません。社員が健康を維持しながら長く働き続けられるように、制度や企業文化がしっかりと整備されている会社を指します。言い換えれば「無理のない労働環境」と「働く人の将来を支える仕組み」を両立できている会社です。

近年は働き方改革や人的資本開示の義務化も進み、企業は自社の労働環境に関する数値を積極的に公開するようになっています。そのため、「ホワイト企業かどうか」は抽象的なイメージではなく、有給休暇取得率や残業時間、育児休業取得率といったデータを通じて判断できるようになってきました。ここでは、不動産業界のホワイト企業を特徴づける3つのポイントについて、さらに詳しく見ていきます。

1-1. 長時間労働を抑える取り組み

不動産業界と聞くと「夜遅くまで働く」「土日も営業で休めない」というイメージが根強くあります。顧客対応が夜間や休日に及ぶことも多く、かつては“長時間労働が当たり前”とされてきました。

しかし近年は、働き方改革の流れを受けて、各社が残業時間の削減に本腰を入れているのが実情です。特に大手デベロッパーでは「月平均残業時間」を明確なKPI(重要業績指標)として管理し、20時間前後を目標値に設定する企業が増えています。

中には、月平均残業時間が10時間未満という水準を実現している会社[1]も登場しました。これは従来の「毎日終電まで働く」という働き方から、確実に環境が変わりつつあることを示しています。

具体的に導入されている施策は以下の通りです:

  • 業務のデジタル化
    契約書の電子化や顧客管理システムの導入により、手作業や紙ベースでの二重入力を削減。
  • 会議の効率化
    資料を事前共有し、会議は30分以内を基本とするルールを設定。無駄な会議を減らす。
  • ノー残業デーの徹底
    週に1~2回は必ず定時退社を促す仕組みを設け、習慣として根付かせる。
  • 残業承認フロー
    残業を行う場合は上司の承認を必須とし、「なんとなく残業する」状況を防止。

こうした取り組みを続けることで、単なる制度ではなく実際の数値改善につながっている点が重要です。

さらに最近は、リモートワークやフレックスタイム制度を導入する会社も増え、勤務時間を柔軟に調整できるようになってきました。これにより、社員が生活リズムを整えながら働ける環境も整いつつあります。

出典:[1]https://toyokeizai.net/articles/-/864826?page=2

1-2. 有給休暇の取りやすさ

働きやすい会社を考えるうえで外せないのが「有給休暇の取得率」です。制度があっても実際に休めなければ意味がなく、取得率が低ければ「休むと評価が下がるのでは」という雰囲気があることを意味します。

不動産業界で「ホワイト企業」と呼ばれる会社は、有給休暇取得率を70%以上に保ち、その実績を毎年公開しています。さらに進んでいる企業では80%を超える水準を実現しており、社員の大半がしっかりと休暇を取れていることが分かります。

たとえば、ある大手企業では有給休暇取得率84.6%を達成し、社員が年10日以上の休暇を平均して取得できています[2]。これは単なる“目標”ではなく、実際に“使えている”ことを示す証拠です。

有給休暇が取りやすい会社は、次のような工夫を行っています。

  • 計画的付与制度
    あらかじめ年間の休暇予定をカレンダーに組み込み、チーム全体で休暇を分散取得できるよう調整。
  • 管理職の率先取得
    上司自身が有給休暇を取り、その実績を開示することで、部下も安心して休める雰囲気を作る。
  • 時間単位・半日単位の取得
    子育てや通院などのニーズに対応し、柔軟な形で有給休暇を利用できる。

これにより、社員は「有給休暇を取る=迷惑をかける」という罪悪感を持たずに済みます。結果として、プライベートや学び直しの時間を確保しやすくなり、仕事と生活の両立がしやすい文化が育まれています。

出典:

[2]https://www.ncd.co.jp/sustainability/society/non-financial-data/?utm_source=chatgpt.com

1-3. 育児休暇や福利厚生の充実

近年、ホワイト企業を判断する重要な指標として注目されているのが「男性育児休暇の取得率」です。従来は女性社員が中心でしたが、現在は男性社員も育児休暇を取ることが“当たり前”になりつつあります。

実際、ある大手不動産会社では男性育児休暇取得率88.9%を達成し、別の会社では計算上100%を超える水準を公表しています。これは「育児休暇は例外的なものではなく、全員が活用できる制度である」という文化を示しています。

福利厚生に関しても、ホワイト企業には以下の特徴があります。

  • 住宅補助や社宅制度
    転勤が多い不動産業界だからこそ、住居コストを抑える支援を整備。
  • 資産形成の支援
    社員持株会や確定拠出年金の導入により、長期的な資産づくりを後押し。
  • 資格取得支援
    宅地建物取引士や不動産鑑定士、マンション管理士など、不動産業務に必須となる資格取得を全面的に支援。
  • 健康サポート
    人間ドックやメンタルヘルス相談窓口、フィットネス補助などで社員の心身をケア。

重要なのは、これらの制度が「形だけ」で終わらず、実際に利用されやすい設計になっていることです。例えば「住宅補助は入社1年目から対象」「資格手当は取得した月から支給」といった運用があると、社員にとって使いやすくなります。

このように育児休暇制度や福利厚生が整っている企業は、社員の生活基盤を守るだけでなく、モチベーション向上や離職率低下にもつながっています。

[3]https://www.mitsuifudosan.co.jp/esg_csr/esg_data/society/?utm_source=chatgpt.com

1-4. 教育・キャリア支援の充実

ホワイト企業を考えるとき、長時間労働の削減や休暇制度に目が向きがちですが、もう一つ重要なのが 「社員の成長を支える仕組み」 です。不動産業界は宅地建物取引士(宅建)やマンション管理士、不動産鑑定士といった資格が業務に直結するため、キャリア形成の支援が整っているかどうかが働きやすさと直結します。

実際にホワイト企業と評価される会社では、次のような取り組みが一般的です。

  • 資格取得支援制度
    宅建など必須資格の受験料補助や合格祝い金を支給。資格手当を給与に上乗せする仕組みも多い。
  • 研修体系の整備
    新入社員研修に加え、年次・役職ごとの階層別研修、専門分野別研修を実施。キャリアに応じた成長を促す。
  • キャリア面談・メンター制度
    定期的に上司や人事との面談を設け、キャリアの方向性を相談できる。先輩社員が相談役となるメンター制度も普及。
  • 海外研修・ジョブローテーション
    大手デベロッパーでは海外不動産市場を学ぶ研修や、住宅・オフィス・商業施設と複数部署を経験できる仕組みもある。

こうした環境が整っていれば、社員は「ただ働く」だけでなく「学びながら成長できる」ため、安心感が増します。ホワイト企業は社員をコストではなく「資産」として捉えており、教育や成長機会を投資と位置づけているのです。

ここまで見てきたように、不動産ホワイト企業にはいくつかの明確な共通点があります。

  1. 長時間労働の抑制
    月残業を20時間前後に抑える取り組みが実施され、業務効率化やノー残業デーなどの仕組みが根付いている。
  2. 有給休暇の取りやすさ
    有給取得率70〜80%以上を実現。上司も率先して休み、安心して休暇を取れる文化がある。
  3. 育児休暇や福利厚生の充実
    男性育児休暇の取得率が高く、住宅補助や健康支援、資産形成制度など、生活を支える仕組みが整備されている。
  4. 教育・キャリア支援の充実
    資格取得支援や研修制度が整っており、社員が学びながらキャリアを伸ばせる仕組みがある。

これらの特徴を兼ね備えた企業こそが「ホワイト企業」と呼ばれます。単に「楽に働ける会社」ではなく、「社員が長期的に成長しながら安心して働き続けられる会社」である点が本質です。

2. 不動産ホワイト企業ランキング2025

ここからは、実際に最新データをもとに作成した「不動産ホワイト企業ランキング2025」を紹介します。ランキングでは、有給休暇取得率や月平均残業時間、育児休暇取得率といった“働きやすさ”を示す数値を基準に、業界を代表する企業をピックアップしました。いずれも不動産業界の中で知名度が高く、街づくりや住宅供給、オフィス開発など幅広い事業を手がけています。各社の事業内容も合わせて見ていくことで、「自分がどんな仕事をしたいのか」と照らし合わせやすくなるでしょう。なお、本ランキングの順位は、公的な機関によるものではなく、独自の基準に基づいて作成したものです。

1位:LIFULL

住まい探しサービス「LIFULL HOME’S」を運営する大手不動産情報会社。国内外に展開し、不動産・住宅情報の提供だけでなく、介護・海外不動産・地方創生など幅広い分野で事業を展開しています。IT技術を活用したプラットフォーム型のビジネスモデルが強みです。

項目数値(最新)
有給休暇取得率84.6%(2024年9月期)
平均有給休暇取得日数10日~20日
月平均所定外労働時間19.5時間/月(=年間234時間÷12、2024年9月期)
男性育児休暇取得率62.5%(2024年9月期)
育児休暇復職率男性92.9%・女性80.0%(2024年9月期)
年間休日数122日(2024年9月期)

出典URL:
https://lifull.com/company/numbers-lifull/ (有給休暇取得率・年間所定外労働時間・復職率・年間休日) 株式会社LIFULL(ライフル)
https://lifull.com/sustainability/people/team/ (男性育児休暇取得率) 株式会社LIFULL(ライフル)

2位:ヒューリック

東京を中心にオフィスビルや商業施設を保有・開発する不動産会社。老朽化した物件の再生事業に強みを持ち、都心の駅近物件を中心に資産を拡大しています。近年はホテル・高齢者住宅の開発や環境配慮型のビルづくりにも積極的です。

項目数値(最新)
有給休暇取得率83.3%(2024年度)
平均有給休暇取得日数ー(未開示)
月平均所定外労働時間30.9時間/月(2024年度、単体)
男性育児休暇取得率88.9%(2024年度、単体)

出典URL:
https://www.hulic.co.jp/sustainability/data/social/ (社会データ:有給休暇・残業・男性育児休暇) ヒューリック

3位:野村不動産ホールディングス

大手総合不動産グループ。分譲マンション「プラウド」シリーズで知られ、住宅事業に加えてオフィスビル、商業施設、物流施設の開発・運営も手がけています。都市開発からマンション管理まで幅広く展開している点が特徴です。

項目数値(最新)
有給休暇取得率75.7%(2024年度)
平均有給休暇取得日数ー(未開示)
月平均所定外労働時間9.87時間/月(2024年度)
男性育児休暇取得率102.3%(2024年度)※定義上100%超あり

出典URL:
https://www.nomura-re-hd.co.jp/sustainability/investor/society.html (有給休暇・時間外・男性育児休暇) 野村不動産ホールディングス 公式ウェブサイト

4位:三井不動産

日本を代表する大手不動産デベロッパー。オフィスビル「日本橋」や商業施設「ららぽーと」、高級住宅地の開発など、多岐にわたる事業を展開しています。海外展開にも積極的で、世界の都市における大規模開発にも参画。街づくりをリードする存在です。

項目数値(最新)
有給休暇取得率ー(未開示)
平均有給休暇取得日数16.2日(2023・2024年度、単体)
月平均所定外労働時間—(未開示)
男性育児休暇等取得率116.6%(2023年度、注記あり)
育児休暇復職率100%(毎年、単体)

出典URL:
https://www.mitsuifudosan.co.jp/esg_csr/esg_data/society/ (有給休暇日数・育児休暇等取得率・復職率 等) 三井不動産

5位:三菱地所

丸の内エリアを中心に、オフィス・商業施設・住宅・ホテルなどを幅広く開発・運営。ランドマーク的な都市再開発に強みを持ち、環境配慮やスマートシティ構想も推進しています。日本を代表する総合不動産会社の一つです。

項目数値(最新)
有給休暇取得率69.0%(2024年度、単体)
平均有給休暇日数13.1日(2024年度、単体)
月平均所定外労働時間—(未開示)
男性育児休暇取得率84.0%(2024年度、単体)

出典URL:
https://mec.disclosure.site/j/sustainability/activities/esg-data/social/ (社会データ:有給休暇・平均日数・男性育児休暇) 三菱地所 サステナビリティ

6位:東京建物

明治29年創業の歴史ある不動産会社。オフィス、住宅、商業施設、物流施設の開発を幅広く手がけています。特にオフィスビルや分譲マンションの実績が豊富で、長い歴史と信頼に基づくブランド力を持っています。

項目数値(最新)
有給休暇取得率68.0%(2024年度)
平均有給休暇取得日数—(未開示)
月平均所定外労働時間—(未開示)
男性育児休暇取得率84.2%(2024年度)

出典URL:
https://tatemono.com/company/materiality.html (有給休暇取得率・男性育児休暇率)東京建物

7位:NTT都市開発

NTTグループの総合不動産会社。オフィスビル、商業施設、住宅開発を中心に、通信事業で培ったネットワークを活かしたスマートシティ開発にも取り組んでいます。安定した基盤を持ち、社会インフラ型の不動産事業に強みがあります。

項目数値(最新)
有給休暇取得率87.6%(2022年度、一般社員)
平均有給休暇取得日数ー(未開示)
月平均所定外労働時間28.5時間/月(2022年度、一般社員)
男性育児休暇取得率—(未開示)

出典URL:
https://www.nttud.co.jp/csr/diversity/index.html (有給休暇・残業)NTT都市開発 https://www.nttud.co.jp/csr/diversity/index.html?utm_source=chatgpt.com

8位:森ビル

六本木ヒルズや虎ノ門ヒルズなど、東京の大型再開発を牽引してきた都市型デベロッパー。オフィスや商業施設の開発・運営を通じて「都市のブランドづくり」に定評があります。都市開発を通じて文化・芸術活動にも積極的です。

項目数値(最新)
有給休暇取得率75.7%(2023年度)
平均有給休暇取得日数ー(未開示)
月平均所定外労働時間28.3時間/月(2023年度)
男性育児休暇取得率92.0%(2023年度)

出典URL:
https://www.mori.co.jp/sustainability/social/labor_practices.html (有給休暇・残業)森ビル

9位:レオパレス21

アパートの建設・賃貸事業を中心とする不動産会社。学生や単身者向け物件に強みを持ち、全国に広がる物件ネットワークを展開。近年は働き方改革やガバナンス強化に取り組み、社内環境改善を進めています。

有給休暇取得率82.0%(2025年3月期)
平均有給休暇取得日数ー(未開示)
月平均所定外労働時間—(未開示)
男性育児休暇取得率69.6%

出典URL:
https://www.leopalace21.co.jp/sustainability/data/index.html (有価証券報告書にて開示)レオパレス21

10位:イオンモール

イオングループの商業デベロッパー。大型ショッピングモールの開発・運営を担い、全国各地に地域密着型の商業施設を展開しています。買い物だけでなく地域交流やイベントの場を提供する“街の拠点”として機能しています。

項目数値(最新)
有給休暇取得率70%(2024年2月期統合報告書)
平均有給休暇取得日数ー(未開示)
月平均所定外労働時間—(未開示)
男性育児休暇取得率75%(2025年2月期)

出典URL:
https://www.aeonmall.com/ir/integrated/  (統合報告書にて開示)イオンモール

2025年2月期 有価証券報告書(1,963KB)

11位:三井不動産リアルティ

「三井のリハウス」「三井のリパーク」ブランドで知られる仲介・駐車場事業を展開。住宅や土地の売買仲介に強みを持ち、不動産流通分野では国内トップクラスのシェアを誇ります。暮らしに身近なサービスを幅広く提供している点が特徴です。

項目数値(最新)
有給休暇取得率(%)—(未開示)
平均有給休暇取得日数(⽇)10.5日(2023年度)
月平均所定外労働時間(時間)31.7時間(2023年度)
育児休業取得率(男性/女性)47.4%/100.0%(※年度表示は採用ページ準拠)

出典URL:https://job.rikunabi.com/2026/company/r119361097/

 リクナビジョブ

12位:東急リバブル

「不動産仲介=東急リバブル」として広く知られる、東急グループの不動産会社。住宅・土地の売買や賃貸仲介のほか、不動産コンサルティング、アセットマネジメントなども手がけています。首都圏を中心に全国展開しており、顧客満足度の高さにも定評があります。

項目数値(最新)
有給休暇取得率(%)—(未開示)
平均有給休暇取得日数(⽇)12.2日(2023年度)
月平均所定外労働時間(時間)26.0時間(2023年度)
育児休業取得率(男性/女性)86.7%/100.0%(2023年度)

出典URL:https://job.rikunabi.com/2026/company/r681200023/employ/ 

リクナビジョブ+1

13位:野村不動産ソリューションズ

「野村の仲介+」を展開する野村不動産グループの中核会社。不動産売買や賃貸の仲介を担い、個人顧客から法人向けまで幅広いニーズに対応しています。グループ総合力を活かした提案力に強みがあります。

項目数値(最新)
有給休暇取得率(%)73.8%(2023年度)
平均有給休暇取得日数(⽇)—(未開示)
月平均所定外労働時間(時間)24.1時間(2022年度)
育児休業取得率(男性/女性)男性:100%(2023年度・同社公表)/女性:100%(2023年度・グループ公表)

出典URL:
https://www.nomu-s.co.jp/sustainability/health/(有給休暇取得率) 野村ソリューションズ
https://job.rikunabi.com/2026/company/r227401089/employ/(残業) リクナビジョブ
https://www.nomu-s.co.jp/corporate/diversity/(男性育児休暇100%) 野村ソリューションズ
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000691.000025694.html(グループ:男女100%達成) プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES

14位:住友不動産ステップ(旧:住友不動産販売)

大手不動産会社・住友不動産の販売部門として、住宅や土地の仲介を中心に展開。全国に営業拠点を持ち、業界大手として安定した基盤があります。2024年より「住友不動産ステップ」に社名変更し、ブランド刷新を進めています。

項目数値(最新)
有給休暇取得率(%)—(未開示)
平均有給休暇取得日数(⽇)—(未開示)
月平均所定外労働時間(時間)32.1時間(2023年度)
育児休業取得率(男性/女性)男性:31%(2023年度/有価証券報告書)/女性:100%(2023年度/採用サイト)

出典URL:
https://job.rikunabi.com/2026/company/r452400037/(残業・女性育児休暇) リクナビジョブ
https://www.sumitomo-rd.co.jp/uploads/8830_FY2024_report.pdf(男性育児休暇率31%) 住友不動産

15位:オープンハウスグループ

急成長中の総合不動産会社。戸建住宅・マンションの開発販売を軸に、仲介や米国不動産投資など事業を拡大しています。積極的な営業スタイルと若手にも責任ある仕事を任せる環境が特徴で、勢いのある企業として知られています。

項目数値(最新)
有給休暇取得率(%)65.96%(2024年度/グループ公表)
平均有給休暇取得日数(⽇)—(未開示)
月平均所定外労働時間(時間)—(未開示)
育児休業取得率(男性/女性)男性:45.0%(2024年度/グループ)/女性:—(未開示)

出典URL:
https://recruit.openhouse-group.com/new-graduate/requirements/(有給休暇取得率) オープンハウスグループ  オープンハウスグループ 株式会社オープンハウス

16位:東京建物不動産販売

東京建物グループの販売部門。不動産仲介を中心に、住宅や投資用物件の売買・賃貸を取り扱います。グループの開発物件を活かした提案力と、都心部を中心に積み重ねた信頼が強みです。

項目数値(最新)
有給休暇取得率(%)77.5%(2024年度)
平均有給休暇取得日数(⽇)15日(2024年度)
月平均所定外労働時間(時間)15.8時間(2024年度)
育児休業取得率(男性/女性)77.8%/100%(2024年度)

出典URL:
https://recruit.ttfuhan.co.jp/env.html(有給休暇取得率・残業) U-inTern(ユーインターン)
https://job.mynavi.jp/27/pc/search/corp75665/outline.html(残業・有給休暇日数・育児休暇率) マイナビ

17位:三井不動産ビルマネジメント

オフィスビルや商業施設の運営管理を担う三井不動産グループ会社。テナント企業のサポートやビル設備の管理を行い、快適で安心できるビジネス空間の提供に注力しています。裏方ながら都市の機能を支える重要な存在です。

項目数値(最新)
有給休暇取得率(%)69%(2023年度)
平均有給休暇取得日数(⽇)16日(2023年度)
月平均所定外労働時間(時間)29.8時間(2023年度)
育児休業取得率(男性/女性)62.5%/100%(2023年度)

出典URL:
有給休暇取得率推移 三井不動産
https://job.mynavi.jp/26/pc/search/corp51841/outline.html(残業・有給休暇日数・男女育児休暇率) マイナビ

18位:三井不動産ファシリティーズ

建物の総合管理・設備管理を行う会社。オフィスビルや商業施設の維持管理に加え、省エネや防災などのソリューションも提供しています。建物の「安全・快適・環境配慮」を支えるスペシャリストとして位置づけられます。

項目数値(最新)
有給休暇取得率(%)78.8%(2024年)
平均有給休暇取得日数(⽇)15.3日(2023年度)
月平均所定外労働時間(時間)21.1時間(2024年度)
育児休業取得率(男性/女性)75.8%/100%(2024年度)

出典URL:
https://www.mitsui-fc.co.jp/recruit/data/(有給休暇取得率・男女育児休暇率 他)三井不動産ファシリティーズ https://job.rikunabi.com/2026/company/r326400033/employ/(残業・有給休暇日数・男女育児休暇率) リクナビジョブ
https://www.mitsui-fc.co.jp/csr/health_management/(健康経営/月平均時間外の開示あり) 三井ファイナンシャルクレジット

19位:三井デザインテック

オフィス・商業施設・住宅の内装設計・施工を担う三井不動産グループ会社。デザイン性と機能性を両立した空間づくりに強みがあり、オフィス移転やリノベーションのプロジェクトで数多くの実績を持っています。

項目数値(最新)
有給休暇取得率(%)—(未開示)
平均有給休暇取得日数(⽇)13.9日(2023年度)
月平均所定外労働時間(時間)21.9時間(2023年度)
育児休業取得率(男性/女性)85.7%/100%(2023年度)

出典URL:三井デザインテック

20位:三井不動産商業マネジメント

「ららぽーと」「三井アウトレットパーク」などの商業施設を運営する会社。店舗誘致やイベント企画を通じて地域に賑わいを創出する役割を担っています。利用者にとって身近な存在でありながら、街全体の魅力づくりにも貢献しています。

項目数値(最新)
有給休暇取得率(%)—(未開示)
平均有給休暇取得日数(⽇)13.5日(2023年度)
月平均所定外労働時間(時間)30.2時間(2023年度)
育児休業取得率(男性/女性)35.7%/100%(2023年度)

出典URL:doda

3. 不動産業界でホワイト企業を見極めるポイント

不動産業界は、住宅・オフィス・商業施設といった人々の生活に直結する事業を担うため、仕事の幅が広く、働き方も会社ごとに大きく異なります。そのため「どの会社なら安心して働けるのか」を見極めることが何より重要です。ここでは、不動産業界でホワイト企業を探す際に役立つ2つの視点について解説します。

3-1. 数値の公開状況をチェックする

ホワイト企業を見極めるうえで最も信頼できる材料は「企業が公式に開示している数値」です。企業のパンフレットや説明会では「働きやすい環境です」という表現が並びますが、それが本当かどうかは数字でしか裏付けられません。

1. 有給休暇取得率の意味

有給休暇取得率とは、社員が付与された有給休暇のうち実際にどれだけ取得したかを示す割合です。不動産業界では、70%以上を確保している会社は「休みを取りやすい会社」として高く評価されます。80%を超える水準になると、業界内でもトップクラスに“ホワイト”と見なされます。

  • 例:LIFULL → 有給休暇取得率84.6%。社員の8割以上がしっかり休んでいる計算になります。
  • 例:レオパレス21 → 2025年3月期で82.0%を達成。過去のイメージから大きく改善しています。

このように数値を見れば、「単なる制度」ではなく「実際に取れているか」が一目で分かります。

2. 月平均残業時間の公開

残業時間の目安は、月20時間以内なら業界全体の中でもかなり良好です。40時間を超える場合は注意が必要といえるでしょう。

  • 例:野村不動産ホールディングス → 月9.87時間という水準で、ほぼ定時退社に近い環境を実現。
  • 例:森ビル → 月28.3時間。やや多めですが、業界全体からすると標準的なラインです。

残業時間の開示がない企業は、働き方改革の取り組みが不十分な可能性があり、要注意ポイントです。

3. 男性育児休暇取得率

男性の育児休暇取得率は、その企業がどれだけ「制度を実際に利用できる文化」を持っているかを示します。

  • 例:ヒューリック → 88.9%。制度だけでなく、利用する空気があることが分かります。
  • 例:三井不動産 → 116.6%。分母と分子のズレにより100%超えとなっていますが、それだけ多くの社員が育児休暇を取得している証拠です。

男性育児休暇が高水準の会社は、女性だけでなく男性社員も家庭と仕事を両立できる環境を整えているといえます。

4. 公開状況そのものを確認

数値が高いか低いか以上に、「公式に数値を公開しているかどうか」が大事です。ホワイト企業を名乗るなら、有給休暇や残業時間、育児休暇取得率といったデータを隠す理由はありません。むしろ積極的に公表し、改善の努力を見せている会社こそ信頼に値します。

3-2. 福利厚生の実用性を見る

働きやすさは「労働時間」だけでは測れません。住居補助や資産形成、研修制度などの福利厚生が実際に社員の役に立っているかどうかも、ホワイト企業を判断する重要な視点です。

1. 住宅関連の支援

不動産業界は転勤や異動が発生しやすいため、住宅補助や社宅制度の有無は生活の安定に直結します。

  • 社宅・借上社宅:転勤先でも安心して住居を確保できる。
  • 住宅手当:独身者・既婚者問わず一定額を補助する企業もある。

特に都市部の家賃が高い地域で働く場合、この制度があるかどうかで毎月の可処分所得は大きく変わります。

2. 資産形成制度

社員持株会や確定拠出年金制度は、不動産業界の大手を中心に整備されています。長期的に勤務するほど恩恵が大きいため、「安定して働ける環境を提供する」姿勢があるかどうかの判断基準になります。

3. 資格取得支援

不動産業界でキャリアを築くには、宅地建物取引士やマンション管理士などの資格が欠かせません。これらの受験料補助や合格祝い金制度があるかどうかもチェックポイントです。単なる学習支援にとどまらず、資格取得後の手当を給与に反映させる会社は“成長を後押ししてくれるホワイト企業”といえます。

4. 健康・生活サポート

ホワイト企業は社員の健康に配慮した制度も重視しています。

  • 人間ドックや検診の補助
  • メンタルヘルス相談窓口の設置
  • カフェテリアプラン(自由に使えるポイント制の福利厚生)

これらは一見すると地味ですが、長期的に働く上で大きな安心材料となります。

5. 実際に使えるかどうか

福利厚生は「ある」だけでは意味がありません。実際に使いやすい仕組みになっているかどうかを、採用ページや社員インタビューで確認しましょう。例えば「有給休暇制度はあるが誰も取っていない」「社宅制度があるが対象はごく一部」では、実態とかけ離れてしまいます。

不動産業界でホワイト企業を見極めるポイントは、大きく2つに整理できます。

  1. 数値の公開状況をチェックする
    • 有給休暇取得率、残業時間、男性育児休暇取得率といったデータを公表しているか。
    • 数字が業界水準より高ければホワイト企業の可能性が高い。
  2. 福利厚生の実用性を見る
    • 住宅補助や社宅制度で生活の基盤を支えているか。
    • 資格取得支援や資産形成制度など、キャリアと将来を支援しているか。
    • 健康や生活のサポート制度が実際に利用しやすく整備されているか。

この2つの視点を押さえて企業研究を行えば、「働きやすさ」と「将来性」の両方を兼ね備えた会社を見つけやすくなります。

4. 就職・転職活動で役立つ調べ方

「不動産業界のホワイト企業を見つけたい」と思っても、企業の数は多く、どこから調べればよいか迷う人は多いでしょう。就職サイトの口コミやSNSの情報も目に入りますが、それだけに頼ると誤解を招く可能性もあります。信頼できる一次情報に基づき、自分の目で確認することが何より大切です。ここでは、不動産業界でホワイト企業を見極めるために役立つ具体的な調べ方を紹介します。

4-1. 企業のIR・統合報告書を確認する

1. IR情報とは何か

IR(Investor Relations)は、企業が投資家向けに公開する経営情報のことです。有価証券報告書や決算短信、統合報告書などが代表的な資料です。これらには、業績だけでなく「人的資本」「働き方」「女性管理職比率」「有給休暇取得率」「残業時間」といった社員に関する情報も記載されています。

たとえば大手不動産会社の統合報告書を開くと、「月平均所定外労働時間:20.6時間」「有給休暇取得率:82.4%」といった数値が表形式でまとめられています。就活サイトの口コミとは異なり、これらは監査を経た公式データであるため信頼性が高いのが特徴です。

2. 統合報告書のどこを見ればよいか

統合報告書は数百ページに及ぶこともありますが、チェックすべきは以下のセクションです。

  • ESG/サステナビリティ関連データ
    → 有給休暇取得率、残業時間、育児休暇取得率、女性管理職比率などがまとまっている。
  • 人材戦略・人的資本開示
    → 社員の育成方針、離職率、ダイバーシティ推進施策が分かる。
  • 健康経営・働き方改革
    → 労働時間削減や在宅勤務制度など、働きやすさに直結する情報がある。

この部分を読むだけで「働きやすい環境が整っているのか」「改善に取り組んでいるのか」が一目で分かります。

3. 有価証券報告書もチェック

有価証券報告書には「従業員の状況」という項目があり、平均勤続年数・平均年齢・平均給与が公開されています。特に平均勤続年数は要注目です。

  • 勤続年数が長い → 社員が定着しやすい。
  • 勤続年数が短い → 人の入れ替わりが激しく、働き方に課題がある可能性。

数値は業種・事業規模によって差が出るので一概には言えませんが、比較するうえでの大事な指標になります。

4. 情報が見つからない場合の対処法

IRや統合報告書に労働関連データが載っていない企業は要注意です。情報公開の姿勢が乏しい会社は、働きやすさを“数字で示せるレベル”にない可能性があります。逆に積極的に開示している会社ほど、透明性が高く、改善にも本気で取り組んでいるといえます。

4-2. 採用ページや説明会で制度の使いやすさを質問する

IRや統合報告書で分かるのは「制度がある」「数値がこうなっている」という事実までです。しかし、実際に社員がその制度を使いやすいかどうかまでは分かりません。そこで活用すべきなのが採用ページや会社説明会、OB・OG訪問です。

1. 採用ページで確認できること

多くの企業は新卒・中途採用ページに「福利厚生」「ワークライフバランス」といった項目を設けています。ここには以下のような情報が掲載されます。

  • 住宅補助・社宅制度の有無
  • カフェテリアプランや保養所の利用
  • 資格取得支援制度
  • 研修制度やキャリア支援

単なる制度の有無だけでなく、「社員の声」や「一日のスケジュール」が載っている場合は要注目です。実際に利用されているかどうかの手がかりになります。

2. 説明会での質問例

会社説明会や面接で「働きやすさ」を聞くのは勇気が要りますが、具体的に聞くことで実態を知ることができます。質問例をいくつか紹介します。

  • 「有給休暇の取得率は直近でどのくらいでしょうか?」
  • 「男性の育児休暇取得者はどの程度いらっしゃいますか?」
  • 「残業時間を減らすためにどのような取り組みをしていますか?」
  • 「若手社員が実際に福利厚生を使いやすい雰囲気はありますか?」

これらは数値で答えられる質問なので、企業も正直に答える必要があります。抽象的な「働きやすいですか?」ではなく、具体的なデータや仕組みに基づいて質問することがポイントです。

3. OB・OG訪問の活用

大学の先輩や知人がその企業で働いている場合、OB・OG訪問を通じてリアルな声を聞くことも有効です。IRや説明会で得た情報と食い違いがないかを確認しましょう。

例えば「有給休暇取得率80%」と公表していても、「実際には部署によって取りにくい」「上司によって雰囲気が違う」という実態が分かることもあります。公式データと現場の声を照らし合わせることで、より立体的に企業を理解できます。

4. ネットの口コミは参考程度に

就職口コミサイトやSNSには生の声が掲載されていますが、あくまで個人の体験談であり偏りがあることも少なくありません。「全員がそうだ」とは限らないため、参考程度にしつつ公式データで裏付けを取るのが正しい使い方です。

不動産業界でホワイト企業を見極めるためには、情報収集の仕方がカギとなります。

  1. IR・統合報告書を確認する
    • 有給休暇取得率や残業時間、育児休暇取得率などを公式の数値で把握する。
    • 平均勤続年数や離職率も安定性を示す大切なデータ。
  2. 採用ページや説明会で直接質問する
    • 制度が“実際に使いやすいか”を確認するために、具体的な質問を投げかける。
    • OB・OG訪問で現場の声を聞き、公式データと照合する。

数字で裏付けされた情報と、実際の現場の声を組み合わせることで、初めて「ホワイト企業かどうか」を正しく判断できます。情報を一方的に受け取るのではなく、自分の手で確かめていく姿勢が、納得できる就職・転職につながるのです。

5. 不動産ホワイト企業ランキングの活用法とキャリア形成

ここまで、不動産業界のホワイト企業の特徴やランキング、数値の見方、調べ方などを紹介してきました。最後に大切なのは、単なる情報収集で終わらせず、自分自身のキャリア設計にどう結びつけるかという視点です。
ホワイト企業ランキングは便利な道しるべですが、それだけに頼るのではなく、将来像と合わせて考えることで初めて本当の価値を発揮します。ここでは「ランキングをどう使えばよいのか」「不動産業界でどんなキャリアを築けるのか」を解説していきます。

5-1. ランキングを就職活動に活かす方法

① 数値で安心材料を得る

ランキングに登場する企業は、有給休暇取得率・残業時間・育児休暇取得率といった指標を一次情報で公表している点が共通しています。これは「会社が社員の働き方に責任を持っている」ことを意味します。就活生にとっては安心材料となり、エントリー企業を選ぶ際の一つの指針になります。

例えば、LIFULLは有給休暇取得率84.6%、残業19.5時間。ヒューリックは残業30時間前後でも男性育児休暇取得率が88.9%と高水準。こうした数字を見れば、生活と仕事の両立を重視する人に適していることが分かります。

② 面接での質問に活用する

ランキング情報は、企業説明会や面接での質問材料としても有効です。たとえば「御社の有給休暇取得率は80%と拝見しましたが、部署間で差はありますか?」といった具体的な質問をすれば、企業研究を深めていることをアピールできます。

③ 自己分析と組み合わせる

ランキングはあくまで「業界全体の中で相対的にホワイトな企業」を示したものです。自分が望む働き方と一致するかどうかを考える必要があります。ワークライフバランスを重視する人なら有給休暇取得率を重視し、年収やキャリアアップを重視する人なら福利厚生や研修制度を優先する、というように自己分析と組み合わせることでより実用的に使えます。

5-2. 転職活動での活用法

① キャリアチェンジの安全性を確保

不動産業界は業務内容が幅広く、ハードワークの印象も強いため、異業種からの転職を考える人は「環境に適応できるか」を不安に感じます。ランキングに登場する企業は数値的に働きやすさが裏付けられているため、初めての挑戦でも安心材料になります。

② 面接準備の説得力を高める

転職面接では「なぜその会社を選んだのか」が問われます。その際に「御社は有給休暇取得率が業界平均を大きく上回っており、育児休暇取得実績も高いことから、長期的にキャリアを築ける環境だと感じました」と答えれば、志望理由の説得力が格段に上がります。

③ キャリアの持続可能性を考える

転職はゴールではなくスタートです。ランキングでホワイト度が高い企業を選ぶことで、体力的・精神的に無理のない働き方を続けられる可能性が高まります。これは結果としてキャリアの持続性を高め、専門スキルの蓄積や昇進にもつながります。

5-3. ランキングだけに頼らない視点

① 部署や職種ごとの差異

ランキングは企業全体の平均値です。実際には「営業部門は残業が多いが、企画部門は定時退社が可能」といった違いがあります。ランキングを鵜呑みにせず、職種や配属先のリアルな情報を調べることが必要です。

② 個人の価値観とのズレ

有給休暇取得率が高くても「給与水準が低い」と感じる人もいれば、「給与は高いが休みが取りにくい」方が合っている人もいます。ランキングはあくまで一つの基準であり、自分の価値観と重ね合わせることが大切です。

③ 中長期的な企業戦略の影響

ホワイト度は、経営方針や景気によって変化します。例えば新規事業に力を入れる時期には残業が増える可能性もあります。統合報告書や中期経営計画を確認して、将来の働き方がどう変わるかを見極めましょう。

5-4. 不動産業界で築けるキャリアの多様性

不動産業界は「住宅販売」だけではなく、実に幅広い領域があります。ランキングを参考にしつつ、どんなキャリアを歩めるのかを知ることも大切です。

  • デベロッパー系:都市再開発や大型商業施設開発を通じて街づくりに関わる。
  • 仲介・流通系:個人や法人の売買・賃貸を仲介し、暮らしの基盤を支える。
  • 管理・ファシリティ系:オフィスや商業施設の運営管理で安定収益を確保。
  • 設計・デザイン系:内装・空間デザインを手がけ、クリエイティブに関わる。

それぞれのフィールドで求められるスキルは異なりますが、ランキング上位の企業は教育制度やキャリア支援制度も充実しているため、幅広いキャリアパスを描きやすいのが特徴です。

5-5. ランキング活用の具体ステップ

ホワイト企業ランキングを見ても「どう使えば良いのか分からない」という人は少なくありません。ここでは、ランキングを自分のキャリア設計に落とし込むための実践的なステップを紹介します。

ステップ1:数値を比較する

ランキング表の中から「有給休暇取得率」「残業時間」「育児休暇取得率」の数値を並べ、自分が重視する項目を軸に順位を付け直してみましょう。例えば「残業の少なさ」を重視するなら野村不動産ホールディングスが適していますし、「有給休暇率」を重視するならLIFULLやレオパレス21が候補に入ります。

ステップ2:業務領域を確認する

同じ不動産会社でも、住宅分譲、オフィス開発、仲介、管理と事業領域が異なります。ランキングで働きやすさを確認した後、その企業が展開する事業が自分のやりたい分野と一致しているかを調べましょう。

ステップ3:説明会・OB訪問で実態を掘り下げる

ランキングは平均値です。説明会で「実際に若手社員の残業時間はどれくらいか」「有給休暇は何日取得しているか」を確認することで、数字の裏側が見えてきます。OB訪問を通じて部署ごとの違いを知ることも有効です。

ステップ4:志望動機に落とし込む

ランキングの情報をうまく使えば、説得力のある志望動機が書けます。例えば「御社は有給休暇取得率が業界平均を上回り、働きやすさを大切にしている点に魅力を感じました。その環境で○○の事業に挑戦したいと考えています」といった具体性のある表現が可能です。

5-6. 成功事例と失敗事例

成功事例

ある就活生は「働きやすい環境で長期的にキャリアを築きたい」と考え、ランキングで有給休暇取得率80%超の企業を中心に受験しました。結果として、希望していた街づくり事業に携われる大手デベロッパーに入社。数字と自己分析を掛け合わせた戦略が功を奏しました。

失敗事例

一方、別の転職希望者は「大手だから安心だろう」と考えてランキング上位の会社に入社しましたが、配属先が営業部門で残業が多く、体力的に厳しくなってしまいました。企業全体の平均値と部署の実態が異なることを確認しなかったことが原因でした。

➡ 教訓として「ランキングはあくまで入口」であり、個人の希望や配属リスクを考慮しないとミスマッチが起きやすいといえます。

5-7. 将来を見据えた学び直し・資格取得

ランキング上位の不動産会社は、社員のスキルアップ支援に積極的です。これを活用することで、キャリアの幅を広げられます。

宅地建物取引士(宅建)

不動産業界の基本資格。ほとんどの企業で手当がつき、昇進条件になっている場合もあります。

不動産証券化マスター

オフィスビルや商業施設の投資に関わる場合に役立つ資格。金融と不動産の知識を組み合わせて活躍できます。

建築士・インテリアコーディネーター

設計・デザイン系の事業領域に携わる人に有効。三井デザインテックなどの内装設計企業では強みになります。

MBAや不動産学の修士

海外展開や経営企画を目指すなら、大学院で学び直す選択肢もあります。ランキング上位企業は留学制度や学費補助制度を整えているケースも多く、自分の将来像に合わせて活用できます。

5-8. ランキングと将来の働き方

ランキングのデータは毎年更新されます。2025年時点で有給休暇取得率80%を超えている企業が、将来も同じ水準を維持できるとは限りません。働き方改革や景気の変動、新規事業の立ち上げなどによって労働環境は変化します。

重要なのは「ランキングの瞬間的な数値」だけでなく、「企業が継続して改善に取り組んでいるか」という姿勢を見ることです。統合報告書で過去3〜5年分の推移を確認すれば、その企業の持続的な取り組みが分かります。

ホワイト企業ランキングは、不動産業界で働きたい人にとって心強い指標になります。しかし、使い方を誤ると数字に振り回されてしまうリスクもあります。

  • 就職活動では → 数字を安心材料にしつつ、説明会やOB訪問で裏付けを取る。
  • 転職活動では → 志望動機やキャリアの持続性を考え、ランキングを説得力のある材料に使う。
  • キャリア形成では → 福利厚生や資格支援制度を活用して、長期的な成長に結びつける。
  • 将来の視点では → 数値の一時的な高さよりも、改善を続ける企業姿勢を重視する。

ランキングは「ゴール」ではなく「スタート」です。数値と現場の声、自分の価値観を組み合わせることで、納得のいく企業選びとキャリア形成につなげてください。

まとめ

不動産業界は「長時間労働で休みにくい」というイメージを持たれがちですが、実際には働き方改革や人的資本の開示が進み、有給休暇の取得率が70〜80%を超える企業や、月残業20時間未満を実現する企業も増えてきました。ランキングで紹介した企業群は、その数値を公式に公開し、改善に努めている点で「ホワイト企業」と呼べる存在です。

本記事で押さえておきたいポイントは3つです。

  1. ホワイト企業の特徴
    長時間労働を抑え、有給休暇を取得しやすく、男性も育児休暇を取りやすい文化を整えていること。
  2. ランキングの活用
    最新の数値をもとにしたランキングを参考にすれば、不動産業界の中で安心して働ける企業の候補を効率よく見つけられる。
  3. 見極め方の実践
    IR資料や統合報告書で数値を確認し、採用ページや説明会で制度の実効性を質問する。OB・OG訪問などで現場の声も合わせて判断する。

「どの会社なら長く安心して働けるのか」という不安は、数字と現場の声を組み合わせて調べることで解消できます。本記事をヒントに、自分のライフスタイルや価値観に合った企業を探し出し、納得できるキャリア選択につなげてください。