金融業界の初任給ランキング15選|初任給・賞与など徹底比較【2025年版】


「金融の初任給はどの会社が高いのか」「同じ30万円でも何が違うのか」就職・転職を考えるうえで、まず最初に気になるのが額面の比較です。けれども、金融業界は会社ごとに月給の書き方が異なり、基本給だけを示す会社もあれば、固定残業代や生活支援の手当を含めた合計額で示す会社もあります。さらに、総合職か地域限定か、首都圏か地方勤務か、学部卒か院卒か。募集のコースや勤務地の違いでも数字は変わります。
見かけの金額だけを追いかけると「高いと思って志望したのに、内訳をよく見ると実態が違った」というギャップが生まれやすいのが実情です。
本記事は、最初に初任給について詳しく解説していきます。基本給と手当の関係、固定残業の考え方、前払い退職金や勤務地手当の扱いなど、混乱しやすいポイントを先に押さえれば、あとでランキングの表を見たときに理解しやすくなるでしょう。
また、初任給はスタート地点に過ぎません。賞与の回数や評価制度、住宅補助や転居サポート、超過残業の精算、研修やジョブローテーションの仕組みなど、最初の給与以外の制度が、1年後・3年後の実入りや働きやすさに大きく影響します。
金額の大きさだけでなく「どんな内訳なのか」「どんなときに適用されるのか」「長く働いたときの総合点はどうなりそうか」を確認できるようにしました。
たとえば「月給30万円」と「月給33万円」の差を見たとき、後者が固定残業30時間込みで、前者は固定残業なし(残業は別途支払い)であれば、実質的な条件は逆転することもあります。
あるいは「首都圏手当」「転居支援」「前払い退職金」といった項目が月給に含まれていれば、金額は上がって見えますが、手当の性質上、将来の昇給や賞与のベースにどこまで影響するかは会社次第です。こうした比較する視点を先に持っておけば、ランキングの数字に振り回されず、むしろ賢く活用できるはずです。
1. 金融の「初任給ランキング」とは?
1-1. 初任給の見方(基本給/手当/固定残業の違い)
金融の月給表示は、大きく以下の3パターンに分かれます:
1. 基本給のみ 見た目の数字は抑えめでも、残業代・各種手当は別途のことが多く、働いた分が素直に反映されます。固定残業がない分、忙しい部署での実入りが増えやすいのが特徴です。
2. 手当込み 首都圏や転居前提のコースでは、生活コストに合わせた手当を月給に含める会社があります。金額は上がって見えますが、ベースアップや賞与計算にどこまで反映されるかは確認が必要です。手当は将来、条件変更で見直される可能性がある点にも注意が必要です。
3. 固定残業込み あらかじめ○時間分の残業代を月給に含める方式です。その時間分を超えた残業は別途支給されますが、固定残業の時間・金額・超過時の単価は必ず確認しましょう。見かけの月給が高いほど固定残業が厚めに入っていることがあり、忙しくない月の安心感と引き換えに、忙しい月の伸びしろが相対的に小さくなる場合もあります。
さらに金融では、前払い退職金を月給に組み込む表示が用いられることもあります。これは将来の退職金の一部を毎月の給与として受け取る設計で、「手取りの厚さ」と引き換えに「退職時の受取額の一部を前倒ししている」という性格を持ちます。
良し悪しではなく、どちらの受け取り方が自分の家計設計に合うかという視点で捉えると判断しやすくなります。
最後に、超過残業の扱いは必ず確認しましょう。固定残業がなくても、所定外労働が発生すれば時給換算で支払われます。固定残業がある場合は、何時間を超えると別途支払いが発生するのか、深夜・休日の割増はどうなるのかまでチェックすると、働き方の実態がイメージできます。
1-2. コース・勤務地で金額が変わる理由
同じ会社でも、以下の要因で初任給が異なることがあります:
・総合職(全国型)/地域限定型
全国型は転居・転勤を前提とするため、転居関連の支援金や勤務地手当が月給や別枠の手当として設定されることが多く、結果として数字が高めに見える傾向があります。一方、地域限定は転居を求めない分、月給は控えめでも生活コストの見通しが立てやすいのがメリットです。
・専門コース(投資銀行・市場・デジタル・アクチュアリー等)
専門性を前提とするコースでは初任給を厚めに設定している会社もあります。
・勤務地の違い
首都圏は家賃・交通費・物価が高いため、首都圏手当が用意されているケースが目立ちます。反対に地方勤務では手当が小さくなることがありますが、生活費の総額が下がる分、可処分所得(手取りから生活費を引いた余り)がむしろ増えることもあります。
つまり、月給(額面)だけでなく、家賃・通勤・食費などと合わせて月間のリアルなキャッシュフローで捉えるのが賢い比較方法です。
・学歴区分(学部卒/院卒)・職群(営業・本部スタッフ・専門職)
ここで大切なのは、自分が応募する募集区分(コース・勤務地・学歴)の金額に必ず合わせて確認すること。ランキングの数字をそのまま鵜呑みにせず、自分の条件でなら、いくらになるのかまで落とし込めば、ミスマッチを避けられます。
1-3. 初任給以外に見るべき制度(賞与・住宅・残業ルール)
・賞与の比重
金融の報酬は、賞与の比重が相対的に大きい会社が多く、回数(例:年2回/年1回+業績連動)や評価の反映度で年間収入が大きく動きます。見かけの月給差が小さくても、評価のつき方・賞与のウエイトで1年単位の実入りは逆転することがあります。
・昇給・等級制度
昇給タイミング(年1回/年2回等)や等級制度(若手の昇格)も、入社後の伸び方に直結します。
・住宅・転居サポート
生活コストに関わる住宅補助・借上社宅・転居サポートは、暮らしの固定費を下げる重要な制度です。首都圏勤務で家賃補助がしっかりあると、手取りベースの安心感が大きく変わります。
・残業ルールの透明性 固定残業の時間数、超過分の精算方法、深夜・休日の割増の扱い、フレックスタイムや時差出勤の運用など、忙しい時期をどう乗り切れる設計なのかがわかる項目を押さえると、入社後のギャップを減らせます。
・育成制度
研修・ジョブローテーション・資格支援などの育成制度も、中長期の市場価値に影響する重要な投資です。短期の額面だけでなく、3〜5年後の実力と選択肢を広げる制度かどうかで、会社選びの納得感は大きく変わります。
2. 金融業界の初任給ランキング 2025

ここからは、実際の「金融 初任給 ランキング」を見ていきましょう。ランキング表をただ並べるだけでは意味がなく、数字の背景や内訳を理解してこそ、本当の比較ができます。同じ30万円でも「基本給のみ」の会社もあれば、「固定残業代を含んだ額面」「転居手当や首都圏加算を内包」している場合もあります。
そこで、本章では最新の一次情報をもとに、金融大手15社の初任給を整理しました。各企業ごとに「金額」「内訳」「特徴」を短く解説しているので、自分が受けるコースなら実際はいくらかを意識しながらお読みください。
ランキングのなかには、突出して高額な専門コースを設けている企業もあれば、全国型と地域限定で差をつける会社もあります。また、前払い退職金や業績加算給といった独自制度が組み込まれているケースもあり、制度設計を理解すれば「なぜこの会社は高いのか」「どんな条件で適用されるのか」が見えてきます。
では、2025年最新の「金融 初任給 ランキング」トップ15社を、一つずつ解説していきます。
1位:大和証券
国内大手の総合証券。専門性採用「総合職エキスパート」で突出した初任給を提示している。大和証券
項目 | 詳細 |
初任給(月) | 500,000円〜(総合職エキスパート)(2024年度実績) |
内訳/補足 | 固定残業30時間相当を含む旨を案内。一般コースは大卒 300,000円。 |
対象コース・学歴 | 総合職エキスパート(部門別コース)/ 大卒以上 |
適用時期 | 最新募集要項時点(2026卒案内ページ) |
賞与/昇給 | 年2回(6月・12月)/ 年1回(6月) |
初任給のポイント:専門コースで50万円〜と突出。一般コース300,000円とは区別。
出典:https://www.daiwa-grp-recruit.jp/recruit/requirements.html(大和証券 採用情報・募集要項)
2位:東京海上日動火災保険
損保大手。人事制度改定に伴い総合職へ一本化し初任給を大幅値上げ。
項目 | 詳細 |
初任給(月) | 約280,000〜410,000円(学部卒)(2025年度予定) |
内訳/補足 | 「Myチャレンジ・インセンティブ」2万円含む。転居転勤サポート手当支給時に上限約41万円。 |
対象コース・学歴 | 総合職(一本化)/ 学部卒(院卒は約300,000〜430,000円) |
適用時期 | 2026年4月導入 |
賞与 | 年2回(6月・12月) |
初任給のポイント:転居前提の手当込みで学部卒最大約41万円を提示。
出典:https://www.saiyou.tokiomarine-nichido.co.jp/information/jinjikaitei/(人事制度改定) / https://www.saiyou.tokiomarine-nichido.co.jp/information/bosyu/(募集要項) https://www.saiyou.tokiomarine-nichido.co.jp/information/jinjikaitei/
3位:SBIホールディングス(グループ採用)
ネット金融グループ。年俸制を12分割した月額提示で固定残業なし。SBIホールディングス
項目 | 詳細 |
初任給(月) | 340,000円(年俸4,080,000円÷12)(2025年度予定) |
内訳/補足 | 固定残業制度なし。残業代・家賃補助等は別途支給。 |
対象コース・学歴 | 総合職(グループ採用)/ 大卒・院卒 |
適用時期 | 2025年度 |
賞与/昇給 | 業績連動賞与あり(年1回)、給与改定 年2回 |
初任給のポイント:固定残業なしで34万円。諸手当は別途。
出典:https://www.sbigroup.co.jp/company/recruit/fresh/guideline.html(募集要項) / https://www.sbigroup.co.jp/news/2025/0129_15215.html(初任給引上げリリース)https://www.sbigroup.co.jp/company/recruit/fresh/guideline.html
4位:SMBC日興証券
大手証券。前払い退職金を含む月額を明示。SMBC日興証券
項目 | 詳細 |
初任給(月) | 337,000円(四年制大学卒)(2025年度予定) |
内訳/補足 | 基本給300,000円+退職金前払 37,000円 |
対象コース・学歴 | 総合コース(全国型/部門別)/ 大卒 |
適用時期 | 2026年4月入社 |
賞与/昇給 | 昇給 年1回 |
初任給のポイント:前払退職金を含んだ表示。基本は30万円。
出典:https://www.smbcnikko.co.jp/recruit/student/recruit/(募集要項) https://www.smbcnikko.co.jp/recruit/student/recruit/
5位:第一生命保険
生保大手。固定残業30時間相当の勤務手当を含む。第一生命保険
項目 | 詳細 |
初任給(月) | 335,560円(学部卒・G型、勤務手当含む)(2025年度予定) |
内訳/補足 | 固定残業30時間相当の勤務手当を含む(超過分は別途支給) |
対象コース・学歴 | 基幹職(G型)/ 大卒・院卒 |
適用時期 | 2025年度予定額 |
賞与/昇給 | 年2回(6月・12月)/ 年1回(4月) |
初任給のポイント:固定残業込みで33.5万円相当。
出典:https://www.dai-ichi-saiyo.jp/2026/recruit/guideline.html(募集要項) https://www.dai-ichi-saiyo.jp/2026/recruit/guideline.html?utm_source=chatgpt.com
6位:住友生命保険
生保大手。コース別で初任給を明示、Gコースが最高額。住友生命保険
項目 | 詳細 |
初任給(月) | 335,000円(Gコース)(2025年度予定) |
内訳/補足 | 固定残業代45,000円(おおむね20時間分)を含む |
対象コース・学歴 | 総合キャリア職(G/A/R)/ 大卒ほか |
適用時期 | 最新募集要項時点 |
賞与/昇給 | 年2回/年1回 |
初任給のポイント:固定残業代込みで33.5万円。コース差あり。
出典:https://www.sumitomolife.co.jp/about/employ/saiyou/recruit/information(募集要項) https://www.sumitomolife.co.jp/about/employ/saiyou/recruit/information
7位:明治安田生命
生保大手。業務効率化加算給を含む表記。明治安田生命
項目 | 詳細 |
初任給(月) | 331,660円(大卒・院卒 共通表記)(2025年度予定) |
内訳/補足 | 業務効率化加算給 61,660円を含む |
対象コース・学歴 | 総合職(career S/V、システム/DS 等) |
適用時期 | 2026年4月初任給(予定) |
賞与/昇給 | 年2回 / 年1回 |
初任給のポイント:加算給込みで33.1万円相当。
出典:https://www.meijiyasuda-saiyo.com/recruit/(募集要項)https://www.meijiyasuda-saiyo.com/recruit/
8位:三菱UFJモルガン・スタンレー証券
大手証券。勤務地手当込みで30.5万円(予定)。三菱UFJモルガン・スタンレー証券
項目 | 詳細 |
初任給(月) | 305,000円(2026年度予定) |
内訳/補足 | 勤務地手当を含む |
対象コース・学歴 | 総合職/ 学歴区分記載あり |
適用時期 | 2026年度予定 |
賞与 | 年1回(6月) |
初任給のポイント:手当込みで30万円超えの厚待遇。
出典:https://www.sc.mufg.jp/company/recruit/basic/recruit/requirements.html(募集要項) https://www.sc.mufg.jp/company/recruit/basic/recruit/requirements.html
9位(同率):三井住友海上火災保険
損保大手(MS&AD)。大卒30万円を明記。MSIG採用
項目 | 詳細 |
初任給(月) | 300,000円(大卒)/ 316,000円(修士) |
内訳/補足 | (同ページ記載の注記あり、「引上げ検討中」表記) |
対象コース・学歴 | 総合職 等/ 大卒・修士 |
適用時期 | 最新募集要項時点 |
賞与/昇給 | 年2回 / 年1回 |
初任給のポイント:大卒30万円。修士は31.6万円。
出典:https://www.msig-saiyou.com/recruit/requirements/index.html(募集要項) https://www.msig-saiyou.com/recruit/requirements/index.html
9位(同率):三井住友信託銀行
信託大手。大卒30万円を明記。三井住友トラストビジネスサイト
項目 | 詳細 |
初任給(月) | 300,000円(大卒)/ 325,000円(院卒) |
内訳/補足 | (ページの募集要項に明記) |
対象コース・学歴 | オープンコース/ 大卒・院卒 |
適用時期 | 2026卒 募集要項 |
賞与/昇給 | 年2回/年1回 |
初任給のポイント:大卒30万円、院卒32.5万円。
出典:https://www.smtb.jp/recruit/new-graduate/information/guideline(募集要項)https://www.smtb.jp/recruit/new-graduate/information/guideline
9位(同率):三菱UFJ銀行
メガバンク。初任給にシニアライフプラン支援金1万円を含む。MUFG採用サイト
項目 | 詳細 |
初任給(月) | 300,000円(大卒) |
内訳/補足 | うちシニアライフプラン支援金10,000円を含む |
対象コース・学歴 | プロフェッショナル職ほか/ 大卒・修士・博士(院卒額別途) |
適用時期 | 2026年度 |
賞与/昇給 | 明記なし |
初任給のポイント:大卒30万円(1万円の支援金込み)。
出典:https://www.saiyo.bk.mufg.jp/recruit/info.html(募集要項) https://www.saiyo.bk.mufg.jp/recruit/info.html
9位(同率):三井住友銀行
メガバンク。大卒30万円を明記。SMBC Freshers
項目 | 詳細 |
初任給(月) | 300,000円(大卒) |
内訳/補足 | (ページの募集要項に明記) |
対象コース・学歴 | 各コース/ 大卒 |
適用時期 | 最新募集要項時点 |
賞与/昇給 | 年2回/年1回 |
初任給のポイント:大卒30万円。
出典:https://www.smbc-freshers.com/job/(募集要項) https://www.smbc-freshers.com/job/
9位(同率):野村證券
大手証券。月例給与30万円を明記。野村リクルート
項目 | 詳細 |
初任給(月) | 300,000円(月例給与) |
内訳/補足 | ー |
対象コース・学歴 | 総合職ほか/ 大卒ほか |
適用時期 | 最新募集要項時点 |
賞与 | 年1回 |
初任給のポイント:月例30万円(固定残業の明記なし)。
出典:https://www.nomura-recruit.jp/newgraduate/requirements/(募集要項) https://www.nomura-recruit.jp/newgraduate/requirements/
9位(同率):楽天証券
ネット証券。固定残業30時間を内包した30万円。楽天証券
項目 | 詳細 |
初任給(月) | 300,000円(総合職・大卒) |
内訳/補足 | 固定残業代61,088円(30時間)を含む。超過分は別途支給。 |
対象コース・学歴 | 総合職/ 大卒・院了(院了 310,800円) |
適用時期 | (ページ記載の実績年) |
賞与/昇給 | 年2回/年2回(昇格・昇給) |
初任給のポイント:30時間固定残業込みで30万円提示。
出典:https://www.rakuten-sec.co.jp/newgrads/recruitment/requirements.html(募集要項) 楽天証券
9位(同率):オリックス銀行
専門金融(銀行)。大卒30万円、勤務区分により差。オリックス銀行
項目 | 詳細 |
初任給(月) | 300,000円(総合職・全国型/大卒) |
内訳/補足 | 全国型 大卒 300,000円/修士 318,000円。地域限定型 大卒 285,000円。 |
対象コース・学歴 | 総合職(全国型/地域限定型)/ 大卒・修士 |
適用時期 | 2025年4月予定(グループ側ページに明記)など |
賞与/昇給 | 年2回(6月・12月) / 年1回(4月) |
初任給のポイント:大卒30万円(全国型)。勤務区分で差あり。
出典:https://www.orixbank.co.jp/aboutus/recruit/information/(募集要項) / https://www.orix.co.jp/recruit/recruiting/requirement/(ORIXグループ募集要項:基本給記載https://www.orix.co.jp/recruit/recruiting/requirement/
3. 業界別の傾向
金融とひと口に言っても、扱うサービスやお客さま、身につくスキル、働く場所は大きく違います。だからこそ、募集コースや制度の設計、キャリアの伸び方にもその業界らしさが表れます。ここでは、ランキング対象の15社を手がかりに、主要業界ごとの「よくある制度」、その制度が生まれる「背景」、企業を選ぶときの「見るべきポイント」を整理しましょう。まず全体像をつかんでから、上記の企業別データの企業別データに戻ると、数字が自分ごととして読み解けるようになります。
3-1. メガバンク(都市銀行)
該当:三菱UFJ銀行/三井住友銀行
背景 全国の拠点と多様な部門を持ち、法人・個人・決済・市場・企画・国際など、銀行業務の基礎を幅広く身につけられるのがメガバンクの特徴です。若手は土台づくりを重視し、数年単位で配属が変わるローテーションが行われることが一般的です。都市圏勤務が多い一方、地方や海外を含む異動の可能性もあります。
よくある制度
・住宅・異動サポート:
独身寮や社宅、借上社宅、転居時の支援など、広域配属を支える仕組み
・研修と資格支援:
業務別の研修、語学・会計・金融資格の学習支援
・キャリア対話:
異動希望の申告や公募制度、ジョブポスティングなど、配属の透明性を高めるための仕組み
見るべきポイント
・募集コース(全国型/地域型/専門部門)と学歴区分が自分の条件に合っているか
・適用時期がいつか(入社年度で制度や金額が変わることがあるため)
・昇給・賞与の回数やタイミングが年間の生活設計に合うか
・初期配属の方向性(法人・個人・本部など)と、ローテーションの頻度・ルール
3-2. 信託銀行
該当:
三井住友信託銀行
背景
不動産、年金、遺言信託、資産管理・承継など、長期の資産を預かるのが信託の軸です。法人・個人いずれもコンサルティング要素が強く、法務・会計・不動産・市場知識が交差します。案件の時間軸が長めで、関係者と腰を据えて進めるスタイルになりやすいのも特徴です。
よくある制度
・専門資格・学習支援:不動産、運用、相続関連の学習支援や研修
・長期伴走を支える評価・育成:担当領域ごとに必要スキルを明確化し、育成カリキュラムを整備
・配属の専門性:不動産・年金・投資運用など、入口の領域がはっきり分かれることが多い
見るべきポイント
・自分が志望する領域(不動産/年金/運用/リテールなど)で募集があるか
・配属決定のプロセス(希望・適性・面談の反映度)と、異動や社内公募の実例
・適用時期/昇給・賞与の回数を、比較表の同条件でそろえてチェック
3-3. 証券
該当:
大和証券/野村證券/SMBC日興証券/三菱UFJモルガン・スタンレー証券
背景
リテール(個人のお客さま)、ホールセール(法人・機関投資家)、投資銀行(株式・債券の発行支援やM&A)、市場部門(セールス&トレーディング)など、役割が明確に分かれるのが証券の世界です。部門ごとに求められる素養・学び方が変わり、配属で日々の仕事が大きく変わります。
よくある制度
・資格・研修のセット:商品知識、法令、コンプライアンス、マーケット知識を段階的に学ぶ仕組み
・コース別の募集:全国型、部門別、地域型など入口の設計が複数あることが多い
・勤務地・転居サポート:支店網や本部機能に合わせた配置・支援
見るべきポイント
・応募コースの違い(全国型か部門別か)と、配属の決まり方(面談・適性・実績の反映)
・部門間のキャリア移動の可否と実例(たとえばリテール→ホールセール等)
・適用時期/昇給・賞与回数を、同率比較できるように並べる
3-4. ネット証券・オンラインブローカー
該当:
楽天証券(参考:SBIグループの証券事業)
背景
口座開設から取引までの体験設計、UI/UX、API、データ分析など、プロダクト×金融が日常の中心です。スピード感があり、仮説検証→改善のループを回す働き方が求められます。職種(企画/開発/データ/CSなど)で求められるスキルと評価軸がはっきり分かれるのも特徴です。
よくある制度
・職種別採用・評価:職務の範囲が明確で、専門性に応じた配置・育成
・働き方の柔軟性:在宅やフレックス、ナレッジ共有の仕組みなど、開発・運用に合わせた運用が見られることが多い
・学習支援・社内勉強会:新機能や法令対応に合わせた継続学習
見るべきポイント
・どの職種で応募するか(総合枠か、企画・開発・データ等の職種別か)
・関係部門との連携の仕方(セキュリティ・法務・リスク管理との協働フロー)
・適用時期/昇給・賞与の設計を、自分のライフプランに照らして確認
3-5. 損害保険
該当
:東京海上日動火災保険/三井住友海上火災保険
背景
自然災害や企業活動のもしもに備えるのが損保の仕事です。法人向けのリスクコンサルティング、保険商品設計、事故対応など、社会の安心を支える機能が広く並びます。企業の海外展開やサプライチェーンの複雑化に合わせ、グローバル案件に触れる機会がある点も特徴です。
よくある制度
・全国配属を支える住まい・転居サポート
・自己啓発支援・研修:保険数理・法令・リスク評価など領域別の学び
・休暇・両立支援:繁忙と平時のメリハリを意識した休暇設計や、家庭との両立を支える制度
見るべきポイント
・募集コース(総合・地域・専門)と、初期配属の領域(法人・個人・海外等)
・育成プログラム(OJT・研修・資格)と、早期に関われる業務の範囲
・適用時期/昇給・賞与の情報を、他社と同じフォーマットで比較
3-6. 生命保険(本社系・基幹職)
該当:第一生命保険/住友生命保険/明治安田生命
背景
商品企画、数理、IT・データ、資産運用、営業企画、人事・総務など、仕組みを設計・運用する本社機能が中心です。契約期間が長く、制度・プロセスの正確性と改善が価値の源泉です。長期目線で着実に積み上げる働き方に合っています。
よくある制度
・長期育成:新入社員研修→配属後のフォロー、領域別の学習機会
・資格・語学支援:数理・IT・運用など、専門性に応じた学習支援
・選択型の福利厚生:ライフステージに合わせて使い分けやすい制度設計
見るべきポイント
・コースの違い(全国/地域/専門)と、配属領域のマッチ度
・異動・社内公募の実例(どれくらいの期間で領域を広げられるか)
・適用時期/昇給・賞与の回数を年の計画に反映できるか
3-7. 専門銀行・ノンバンク
該当:
オリックス銀行
背景
特定の金融商品や顧客領域に強みを持ち、少数精鋭でスピード感のある意思決定を行うスタイルが目立ちます。業務範囲が明確で、担当領域の深掘りによって早くから専門性を伸ばしやすい一方、結果への責任もはっきりしています。
よくある制度
・専門スキル育成:担当領域に合わせた研修や学習機会
・部門横断のプロジェクト:事業横断の課題に関わるチャンス
・業務の可視化:少人数ゆえに役割分担が明瞭で、意思決定までの距離が近い
見るべきポイント
・自分の得意分野(商品・顧客)との一致
・他部門との連携の多さ(審査・リスク・法務などとの距離感)
・適用時期/昇給・賞与の設計と、評価のフィードバックの頻度
3-8. 金融持株会社・フィンテック
該当:
SBIホールディングス
背景
証券・銀行・保険・アセットなど複数の事業を束ね、グループ横断での展開が進むスタイルです。新サービスの立ち上げや提携も多く、変化対応とスピードが重視されます。配属先が事業会社・子会社になるケースもあり、役割定義の明確さが重要です。
よくある制度
・ジョブ型・年俸制などの運用:役割に応じた報酬設計を行う場合がある
・グループ内異動:事業横断でのキャリア機会
・プロジェクト型のアサイン:新規・協業に関わるチャンス
見るべきポイント
・配属先の明確さ(どの事業会社・部門か)と、役割の定義
・横断異動の実績と、キャリアパスの具体例
・適用時期/昇給・賞与の設計が自分のスタイルに合うか
4. まとめ

金融の初任給は、学歴・昇給と賞与の回数など会社ごとに変わります。
その前に、メガバンク・信託・証券・ネット証券・損保・生保・専門銀行・持ち株会社など、業界の違いをつかんでおくと選びやすくなるでしょう。
流れとしては、やりたい仕事の方向を決める → 該当業界から数社にしぼる → 募集要項の4項目(業務内容・応募資格・勤務地・勤務時間・給与・待遇)を同じ形式で比較してみる → 説明会や面談で初期配属や育成の実例を確認します。
数字に振り回されず、仕事内容と働く場所まで含めて、自分に合う会社を選びましょう。